2020年07月31日 1635号

【女たちから仕事奪った「コロナ」 均等待遇なしに雇用守れず】

 3人の子どもを育てる40代シングルマザーは働いていたスポーツジムが緊急事態宣言で休館となり、休むように指示された。だが、休業手当の支払いはない。「収入がなくとも、家賃や食費、光熱費などの生活費は普通にかかる。学校が休みの間は給食がないので、食費がかさんだ」と窮状を訴える。

 「保育所の清掃の仕事をパートでしている。コロナで来る子どもが減り、パートだけが休業。休業中の給料は支払われていない。収入がなくても介護保険料は払わないといけないので、苦しい」と70代女性は語る。

 会社都合で従業員を休ませる場合は、休業手当の支給が義務づけられている。しかし、受け取れる人は少ない。「雇用調整助成金」「持続化給付金」など手続きも煩雑なため申請されず、必要な休業者に手渡っていない。

なぜ女性が失職

 コロナによる「休業」で、多くの女性たちは仕事を失った。

 5月の失業者は198万人、休業者は423万人、雇用形態はパート、アルバイト、派遣、契約社員などの非正規労働者が約6割で、休業者の60%、256万人が女性だ。男性休業者で最も多いのが65才以上なのに、女性では25才から44才までの子育て世代が多くなっている。

 4月時点で昨年同月に比べ非正規労働者97万人が減少、うち71万人が女性だった。特に減少した業種は飲食店、飲食料品小売業、食料品製造業、宿泊業などだ。雇用者に占める女性の非正規労働者の割合は、飲食料品小売業で62%、飲食店57%、理容・美容等49%、宿泊業44%、食料品製造業39%。つまり、コロナで雇用が大きく減った業種は女性の非正規労働者が占める割合が大きく、もろに影響を受けたことがわかる。

 休業者はコロナが長期化すれば、たちまち職を失う「失業予備軍」といえる。「女性の活躍」の名で、非正規労働者を増やしてきた問題がコロナによって浮き彫りになった。

医療、介護の苦境

 女性労働者の割合が圧倒的に大きい介護・医療現場は、感染のリスクが高く、スタッフの中に感染者が出ればたちまち「過重労働」になってしまう。コロナで利用者が減少している介護施設では、経営が厳しく人手不足にますます拍車がかかる。医療現場も同様。感染患者を受け入れた病院の中には、経営危機で一時金をカットする所まで出ており、離職者も増えている。

 支援金や慰労金は「焼け石に水」。報酬大幅引き上げと一体の人員増など根本的な待遇改善を行わなければ、女性の雇用は守れない。

(OPEN<平和と平等を拓く女たちの絆> 山本よし子) 
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