2020年07月31日 1635号

【2020ZENKOin大阪いよいよ開幕 「大阪都構想」協定書案 差し戻し再協議を/総務大臣意見書の提出求める/ZENKOなどが総務省交渉】

 大阪府・市は6月19日、「大阪都構想」の制度案を議論する「大都市制度協議会」で、大阪市を廃止し4つの「特別区」に再編する「特別区設置協定書案」を強行採決した。協定書案は現在、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき、総務大臣が検討し意見を述べる手続きに入っている。

 コロナ禍に目もくれず、大阪市を解体し、財源をIR(統合型リゾート)・カジノにつぎ込む都構想は認めない。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)と平和と民主主義をともにつくる会・大阪(山川よしやす代表)は7月15日参院議員会館で、協定書案を破棄・差し戻し再協議とする大臣意見書の提出を求めて総務省に請願。同省の担当官2人が対応した。

 請願書では、▽協定書案はコロナ危機を前提としておらず、感染症対策やその財源は全く勘案されていない▽4特別区とも新庁舎を建設せず職員の多くは他の庁舎勤務となり、地方自治法4条(庁舎の位置は住民の利便性等を考慮)に抵触▽市民の意見を聴取・反映させていない▽コロナ第2波が予測される11月1日の住民投票実施は許されない▽巨大な一部事務組合の設置は基礎自治体の権限の重大な侵害―と指摘した。

大阪市民が次々と訴え

 山川さんら請願に参加した大阪市民が次々に訴える。「一つの庁舎に違う自治体の職員が。市民のことは全然考えてない」「住民サービスはがたがたになる」「年800件の分娩を担ってきた2つの市民病院が1つはつぶされ、1つはコロナで機能を失った」「生活保護受給者は『ケースワーカーが忙しすぎて対応が悪くなっている』。孤独死も増えている。こんな状況で大阪市をばらばらにし、弱体化させるのか」「住民への説明が何もないまま協定書が国へ。もう決まったかのように言われている」

 交渉には福島みずほ参院議員が同席。「地方自治なので総務省が言いにくい面は分かるが、『地方自治の本旨から言って問題がある』など言いぶりは工夫できる。『問題なし』では『総務省のお墨付きを得ました』となる」と諭した。

 総務省側は「総務大臣意見の有無・内容についてはお答えしかねる」「協議会や府・市議会でご議論いただくべきもの」といった態度に終始。庁舎の位置をめぐっても「鹿児島県十島村・三島村、沖縄県竹富町は当該自治体の区域外に役場がある」と的外れの離島の例を持ち出して正当化したが、住民の利便性が考慮事項とされていることを大臣に進言してほしい、との要望には「もちろん言わしていただきます」と応じた。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS