2020年08月07日 1636号

【危機を克服する国際連帯 海外ゲストのアピール(要旨)】

DSA(アメリカ民主主義的社会主義者) ビル・イェイツさん

 新型コロナウイルス―左翼にとって活動がより容易になった面があります。

 DSAの会員数は6万7千人を超えました。それはインターネット通信によるところが大きい。これまで月1回の会報の郵送や電話で連絡を取り合っていましたが、頻繁に、全国レベルで意見交換をし助け合えるようになっているからです。

 ジョージフロイドさん殺害以降、シアトルでも19日間デモが続きました。Black Lives Matter(BLM、黒人の命を軽んずるな)≠フ闘いにはDSAも賛同団体として参加しています。大都市だけでなく、黒人が多いわけではない小さな町でも5人に1人が参加するデモが行われています。

 DSAは選挙闘争でも前進し続けています。市、州、連邦の各レベルで多くの候補者を立て、民主党内体制派の現職を追い詰めているのです。これにより本当に必要とされている医療、雇用、そして環境を守るまともな政策が議論されるようになること期待しています。

 最後に、皆さんにはDSAという友人であり同志がいることをお忘れなく。


イラク労働者共産党 サミール・アディルさん

 新型コロナの世界的流行で死者は50万人を超える。各国政府が市民の健康と安全への責任を回避した結果だ。資本主義体制は人類の存在に敵対しており、医療部門の民営化を狙う新自由主義政策の正体が暴かれた。

 イラクでは、政治腐敗と高い失業率に新型コロナが重なり全人口の40%以上が貧困ラインの生活だ。カディミ新政権は、強制的在宅命令や主要道の封鎖をしただけで、失業給付も補償もせず、民衆のための新型コロナ対策を一切しない。病院は感染者への十分な治療もできない。

 外国石油企業は、原油価格下落を理由に何千人ものイラク人労働者を解雇し、補償金すら払わなかった。電力産業や教育部門では、正規・非正規を問わず5か月間賃金不払いだ。イラク労働者共産党が示した行動計画は労組・学生団体・女性団体や16のNGOに広がり「コロナウイルスと闘う全国行動計画」へと発展した。イラク全土の一つのネットワークに統一する活動を進めている。


フィリピン マパラドカ(戦争と貧困に反対する市民連合)ポール・ガランさん

 新型コロナウイルスのパンデミックは、人の福祉、命、生活を破壊するグローバル資本主義が引き起す人災であることを露呈させた。

 政府は民衆が必要とする対処をしていない。コロナ禍を利用してこの国を警察と軍隊の支配下に置こうとしている。公立病院、医者、医療労働者は不足する一方、政府は少数の支配者の権益を守るための武器の強化に税金を使う。フィリピンの公的医療制度では、医者は国民3万3千人に1人の割合で、WHO(世界保健機関)が勧める千人に1人の水準からほど遠い。

 苦しむ人びとの要請に応えて32年続くアバカダ(就学前教育施設)は、貧困家庭の子どもたちにも可能なオンライン授業を配信する。教材と給食は親が持ち帰る。

 運営資金の一部を賄う母親や女性たちの地域食堂には、地域の工場閉鎖・生産縮小のため訪れる労働者がほとんどいない。アバカダは、支援を求めてオンラインコンサートを行っている。ぜひこのプロジェクトを広め支援してほしい。


韓国 代案文化連帯 ユ・ミヒさん

 コロナは全く違う世界への分岐点となった。民衆の生き方が変化し資本主義・新自由主義の体制を揺るがせている。ウイルスの爆発的拡大は、自由主義を「隔離」し、資本の論理で運営していた「医療」システムは「死」を量産した。最も弱い人々が犠牲にされたことを記憶しなければならない。持続可能な世界へ事態は切迫している。

 韓国で打ち出された「デジタル・ニューディール」「グリーン・ニューディール」政策は、再包装された資本主義の新商品にすぎない。利潤増殖の手段になり、無批判な過去に戻るだけだ。

 2020年は朝鮮戦争70年。軍事衝突が心配な状況だ。ソソンリにサード(高高度迎撃ミサイル)が配備され、警察の暴力は絶えず、韓国を軍事要塞化しようとしている。

 市民は「韓半島終戦平和キャンペーン」を始めた。数百万人の死傷者、不安と憎悪、緊張が支配する悪循環は、70年で十分だ。我々は平和を望む。署名と支持宣言から国際的平和キャンペーンに発展させ、韓半島の平和体制を構築しよう。


韓国 希望連帯労働組合 チェ・オスさん

 新型コロナによる韓国の失業者は200万人。非正規労働者の約26%が解雇されているが、これは正規労働者の6・5倍にあたる。テレワークが増えたため通信3社の営業利益は急増しているにもかかわらず、緊縮経営に突入している。

 希望連帯労組は、労働者の健康権と雇用安定を確保するための8大要求を掲げるとともに、市民の安全確保も求めている。韓日労働者の連帯を強めよう。

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