2020年08月07日 1636号

【コロナ後の世界は民主主義的社会主義/新自由主義と決別し、命と生活を守る 地べたでネットで人と人がつながろう/第50回記念 2020ZENKOin大阪に900人】

 第50回平和と民主主義をめざす全国交歓会(2020ZENKOin大阪)が7月25〜26日開かれ、大阪の主会場と東京会場、オンライン参加の900人が新型コロナウイルス危機から命と生活を守る闘いを柱に熱く議論を交わし、2020ZENKO決議を採択。全国に発信した。

 安倍政権や小池都政、維新大阪府・市政のコロナ対策はでたらめきわまる。MDS(民主主義的社会主義運動)の佐藤和義委員長は「検査拡充と医療体制整備にお金を出さなければならないのに、株価回復のため日本銀行を通じて株を直接買い入れた」と糾弾。参加者からも「大阪は10万円給付済み46%(7/14)。コールセンターに電話がつながらず、不安が増している」実態が報告された。

 新自由主義の社会は新たなウイルスの脅威にどんなに脆弱(ぜいじゃく)か。「医療部門の民営化で高齢者に適切な医療を提供できなかった。パンデミック(世界的大流行)は最も貧しい人びとの命を奪う」と告発するのは、イラク労働者共産党のサミール・アディルさん。フィリピン・マニラで就学前教育施設を運営するポール・ガランさんは「政府は公的医療にほとんど財政支出しない。最貧困地区の40%に医者がいない」と語った。

世界を変える

 コロナ後の世界はどんな世界であるべきか。MDS佐藤委員長は「新自由主義と決別し、医療機関・製薬資本の国有化・公有化など民主主義的社会主義の方向の下、闘う」と提起。「グリーン・リカバリー、資本主義に規制をはめる経済政策、生活のあり方が求められる」と見るのは、福島みずほ社民党党首。同党大阪府連の大椿ゆうこさんは「相模原障がい者殺傷事件から4年。政治家が命の選別を口にし、医者がALS(筋萎縮性側索硬化症)患者を殺害するような社会を変えたい」と話した。

 韓国・代案文化連帯のユ・ミヒさんは呼びかける。「大量生産・大量消費・大量廃棄の経済・社会に戻ってはならない。人と人、人と自然の共生をめざそう」

 闘いの最前線は地域だ。東京・足立区議の土屋のりこさんは「困った時に頼れるセーフティーネットを構築してきた。市民の手で『公共』を作り、住民主権、住民が決定する自治体、地域から民主主義的社会主義の前進を」と強調。医療・介護・教育をはじめ社会インフラを支える人びとに無症状でもコロナ検査を行うことなどを求める自治体要請の取り組みを共有した。

 パンデミック下、市民の行動は制限を余儀なくされる。だが、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)のビル・イェイツさんは言う。「都市封鎖で活動が容易になった面がある。インターネットを通して地域でも、州・全国レベルでも、国をまたいでも、仲間と意見交換し、助け合うことができる。いつでも望む時に連絡を取りあえる。災いを転じて福とした部分だ」

コロナ解雇、棄民許さぬ

 コロナ禍を口実とした非正規切りは許されない。労働組合・ユニオンの存在価値は高い。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の坂田冬樹副委員長は「建設現場の安全・安心を守り、非正規労働者を正規雇用に変えよと要求したことに“犯罪”の汚名が。逮捕者全員の奪還を機に反転攻勢に出る」と述べた。派遣労働者からも、契約途中の不当な雇い止めをユニオンに加入し団交や厚生労働省要請などで撤回させる、と決意表明があった。

 市民の苦しみをよそに戦争準備の基地に予算がつぎ込まれる。辺野古新基地建設と闘う沖縄平和市民連絡会の上間芳子さん、宮古島の軍事要塞化阻止をめざす「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の楚南有香子さん、岩国基地監視行動を続ける元岩国市議の田村順玄さん、Xバンドレーダー設置に反対する京丹後市議の永井友昭さんが、共に闘おうと訴える。

 復興五輪のかけ声のもと原発避難“不可視化”攻撃はやまない。福島原発かながわ訴訟の村田弘(ひろむ)原告団長は「避難者への家賃2倍請求や明け渡し訴訟、帰還困難区域の除染なし避難指示解除の動きまで。究極の棄民だ」と怒りを込めた。

歴史を引き継ぐ

 50年の歴史を刻んだ全交。1971年の第1回全交を主催した一人、伍賀(ごか)偕子(ともこ)さんは「不当なことに屈しない精神を体現する闘いを積み重ねてきた。『全交って何』を語れる映像などがつくれれば」と願う。

 その歴史を次代に引き継ぐ新たな担い手たちも現れつつある。メイン集会の司会を務めた広島のNさんは「コロナ禍だからこそコミュニケーションの方法を模索して連帯を深め、変化を引き起こしていけると感じた」、滋賀の岩崎奈那美さんは「人びとが命の危険にさらされず安心して生活できる社会になるよう活動したいと勇気づけられた」と振り返る。

 実行委員長の田中拓真さんが「ズームで全世界がつながれた。闘えば変えられる」とまとめた。

2020ZENKOin大阪 決議<全体重点方針(骨子)>

(1)コロナ危機下、安倍政権打倒へ新署名運動

(2)臨時国会冒頭に中央行動―政府要請 総選挙で市民と野党共闘勢力勝利

(3)命と生活を守る要求で自治体要請

(4)辺野古新基地建設断念 全国の反基地運動連帯へZENKO参加団

(5)横浜カジノ、大阪都構想反対 大規模開発と民営化反対

(6)10・18東京、11・15大阪で団結まつり

(7)12月沖縄連帯の全国スピーキングツアー

(8)2021年1月、ユース参加団in沖縄



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