2020年08月14・21日 1637号

【ZENKO分科会 労働組合の力で命と生活を守ろう/日韓労働者の日常的交流強化はかる/コロナ口実の解雇は許さない】

 7月26日、第50回平和と民主主義をめざす全国交歓会(2020ZENKOin大阪)の「労働組合の力で命と生活を守ろう!」分科会は、大阪、東京、ソウルの3か所をネットで結び、ズームも含め約50人の参加で行われた。

 初のオンラインの取り組みでトラブルもあったが、日韓の労働者がコロナ禍の現在、直面する課題で交流できた意義は大きい。

非正規3万人解雇

 分科会論議を通して明らかになったのは、日韓に共通するコロナ危機への闘い方だ。韓国の労働組合が掲げている2大要求―災難時期解雇禁止!生計の所得保障!▽全国民の雇用保険の導入及び社会安全網の全面拡大―に、日本の労働者も連帯して闘っていくことの必要性が確認された。

 日本では、非正規労働者は3万人が雇い止めや解雇にあい、400万人が休業状態に置かれている。なかまユニオンに寄せられたコロナ関連の労働相談は、解雇や休業補償など約50件に及んでいる。

 また、対面での接触が避けられない医療・介護・教育・保育分野などの労働者は、常に感染し、感染させかねない危機意識を持っている。なかまユニオンが4月に行った介護労働者の交流会では「マスクは週1枚」「消毒液が足りない」などの実態が報告されていた。労働者の努力で回避できるわけがない。

事業者に健康保護要求

 韓国・希望連帯労働組合のチェ・オス組織局長は、新型コロナをめぐる政策要求を報告した。「新型コロナによる韓国の失業者は200万人。非正規労働者の約26%が解雇されているが、これは正規労働者の6・5倍にあたる。労働者の健康権と雇用安定を確保するための8大要求を掲げるとともに、市民の安全確保も求めている」

 過密な現場となっている放送・通信及びコールセンター事業の労働者を主に組織する希望連帯労組。その8大要求とは、(1)新型コロナウイルスから労働者の健康を保護し労働組合への参加を確保・拡大すること(2)有料放送の再許可の条件に政府は労働者健康権保障の項目を新設すること(3)放送番組の制作延期やキャンセルで被害を受けた放送スタッフ労働者の支援策を政府は用意すること、など。

 雇用の確保にとどまらず、今後も続くコロナ禍の中で労働者を守るための政策だ。

現場の闘う力示す

 パク・ウォンスン市長の死去によりソウル市で働く労働者に影響が出るか、との質問が出た。

 チェさんは「この間の非正規労働者の正規化も、すべて労働現場での闘いが創り出した成果であり、誰が市長になろうと流れが変わることはない」と答えた。

 7月初めに韓国労働組合のナショナルセンター・民主労総は、「新型コロナ危機克服」にむけた政労使の暫定合意を結ぼうとしていた。しかし、その案には「解雇禁止」などの労働者保護対策が具体的に盛り込まれておらず、リストラを防ぐ実質的な措置が抜けていた。そのため組合員の抗議により、民主労総委員長は7月25日に辞任に追い込まれたという。

 これらは、現場からの要求と闘いで社会を変えていくこと、その原則は労働組合の組織の中でも貫徹していることを示している。

   *  *  *

 分科会の後、チェさんは「今後はもっと気楽に日韓交流をやろう。月例会をしよう」と提案。なかまユニオンの井手窪啓一委員長は「直接会うことは難しくなったが、逆に以前よりも日常的な交流が日韓でできるようになった。これは画期的だ」と応じた。

 コロナ禍の中、労働運動分野での日韓連帯強化の展望が見えた。



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