2020年08月14・21日 1637号

【反基地分科会 在日米軍の無法ぶり容認する政府 侵略軍へ変貌すすむ自衛隊 軍事費削れを足掛かりに】

 「コロナ危機下の反基地平和運動の展望」をテーマにした分科会。国内5人のパネリストと韓国の米ミサイル基地反対運動からの報告をもとに論議が行われた。明らかになったことは、在日米軍の傍若無人なふるまいとともに、自衛隊が侵略軍化する姿だった。

 東京都多摩地域にある横田基地。「22時以降の飛行はしない約束だが、守られていない」と話すのは、第9次横田基地公害訴訟原告団長の福本道夫さん。「C130輸送機の超低空飛行も約束違反だ。オスプレイのホバリングによる低周波被害、有毒な有機フッ化化合物の流出…」。在日米軍司令部が存在する横田で生起する基地公害の生々しい実態が明らかにされた。

 米海兵隊岩国基地も同様だ。「コロナ感染した米兵家族がウソの届け出をして基地に帰還していた」と指摘する在日米軍の監視活動を続ける市民団体「リムピース」の田村順玄さんは米軍の司令官がコロナ感染予防として日本人基地従業員の子ども約100人には通学を禁じたことを問題にした。

 「米軍・防衛省は約束を守らない」と声をあわせるのは京丹後市議会議員永井友昭さん。京都府北端、日本海に突き出た経が岬に米軍Xバンドレーダー基地建設が決まったのは2013年。20年4月議席を得た永井さんは、米軍関係者の交通事故が件数のみの報告に一方的に変更された事実を問いただし、「地位協定抜本的見直し」を迫っている。

 在日米軍の身勝手ぶりは地位協定によるのは明らかだ。だが政府は「米軍特権」を問題にしないどころか「自衛隊も特別」との意識を定着させようとしてる。

 陸上自衛隊ミサイル基地・弾薬庫建設が強行されている沖縄・宮古島。まったく住民に説明しない防衛省の厚顔無恥ぶりが報告された。「イージスアショアの秋田、山口に比べ、宮古では住民説明会は一度もない」と「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」楚南有香子さんは怒りをあらわにする。平良港や下地空港の軍事転用、米国の対中国戦略と一体化するミサイル部隊相互運用、ミサイル追尾用GPS衛星システム導入など軍事強化の実態を次々と指摘した。

 コロナ下でも軍事化は止まらない。だが、「軍事費削ってコロナ対策に回せ」は当然の声だ。沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは辺野古新基地建設の工法変更の問題点をいくつも上げ、「意見書を玉城デニー知事に出してほしい」と訴えた。変更を認めなければ建設工事は止まる。

 日米軍事一体化が着々と進んでいる。分科会の中で明らかになった事実を共有することから闘いは広がる。現地であきらめずに闘う人びととともに、全国、全世界と結んで闘うことの必要性が一層明確となった。

 
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