2020年08月28日 1638号

【1638号主張 PCR検査・医療拡充は待ったなし 今こそ自治体要請へ】

命守らぬ安倍政権

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。8月1〜15日の1日平均感染確認者は1千人を超え、累計5万5千人に上る。重症者を含む患者受け入れで東京、大阪、沖縄をはじめ各地で医療体制が逼(ひっ)迫しつつあり、早急な対応が必要だ。

 立憲野党5会派は臨時国会の召集を求めているが、安倍政権は国会を開こうとしない。責任放棄の安倍首相への批判が広がっている。NHKの8月世論調査でも、臨時国会を「速やかに開くべき」は72%に上った。新型コロナをめぐる政府の対応を「評価しない」は58%。内閣支持率は過去最低水準の34%となり、不支持率は47%になった。

 新型コロナ対策の抜本的な拡充、国家私物化―金権腐敗や憲法違反の敵基地攻撃論の追及など課題は山積みだ。ただちに臨時国会を開かせなければならない。

検査・医療の拡充へ

 感染拡大防止のために緊急に必要なのは、PCR検査体制の大幅拡充と医療態勢の整備だ。

 米ニューヨーク州は、のべ約650万件の検査による追跡・隔離で感染を抑え込みつつある。イギリスでも、1日約12万8千件(7月末)からさらに1日50万件をめざす。大量の検査とそれに基づく対応が感染抑制につながることは世界の常識だ。ところが日本では、厚生労働省や自治体の検査抑制で、症状があっても、周囲に陽性者が出ても、市民が実際に検査を受けるのはいちじるしく困難だ。

 そうした中で、東京都世田谷区などは検査の大幅拡充を打ち出した。迅速な検査に向け、長崎県は医師会、長崎大と連携し、沖縄県も107か所のクリニックなどと契約を進めている。日本医師会は8月5日、「緊急提言」を公表。▽PCR検査の患者一部負担金を公費で措置する▽全国に検査機器を大幅に拡充する▽各地域に公的検査機関を設置する▽陽性者の療養施設を確保する―などを求めた。

 これらはPCR検査拡大を要求する市民の声の反映だ。かたくなな厚労省ですら「契約締結の促進」「感染状況を踏まえた幅広い検査」(8/7事務連絡)と口にせざるをえない。

地域から政策を変える

 政府は、公費での大規模なPCR検査、陽性者の療養施設や医療機器・施設の確保、危機的な医療機関の支援のために、速やかに財政出動しなければならない。財源はある。第2次補正予算の予備費10兆円がある。また、辺野古新基地建設の即時中止をはじめ軍事費を削り、富裕層・大企業への課税を強化することだ。

 いま声を上げ、政策を変える時だ。重要なのは市民による地域からの運動だ。人びとの声を束ね、「命と生活を守れ」と自治体への要請を強めよう。根本的政策転換への道を切り開こう。

  (8月16日) 
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