2020年08月28日 1638号

【コロナ危機下の解雇禁止/雇用と生存権 守りぬこう/首都圏なかまユニオン定期総会】

 首都圏なかまユニオンは8月2日、都内で定期総会を開き、「コロナ危機下での解雇禁止」「コロナ恐慌に負けず、雇用と生存権を守り抜こう」などを柱とする向こう1年間の運動方針を決定した。同総会で発言した派遣争議当事者の組合員2人が、自らの闘いについて報告する。

契約解除の撤回を求める/非正規でも安心して暮らしたい

 私は、派遣先及び派遣元が私の派遣期間を誤認し、契約期間の途中で契約解除されたことと、4年弱同じ派遣先に同職種で勤続していたにもかかわらず期間途中で事業所を異動しているため、2015年改正派遣法で導入された3年ルール及び雇用安定措置の適用が認められなかったことなどから、派遣法第40条の6の労働契約申し込みみなし制度が適用されるべき案件であるとして、派遣先・元を相手に契約解除撤回を求めて闘っております。これまで、派遣先・元と2度団体交渉をした他、東京労働局に上記内容が不当であると申告しています。

 また、先日は参院議員会館で、私たち派遣労働者の置かれた現状をお伝えするべく厚労省の需給調整事業課や労基署担当の官僚の方々への要請行動に参加しました。その場では、(1)労働局の対応が我々労働者側の立場に立った対応となっていないことの改善、(2)(私のケースもそうですが)現状の法体系やルールにうまく当てはめて判断するのが困難で(労働局の職員ですら判断がバラつく)、想定されていないと思われるケースも実際あるので、派遣労働者の現状に沿い、労働者の権利が守られる法体系・ルールの整備・運用、(3)派遣をはじめ非正規労働者であっても将来に向けて安心して働けるような、実態に即したキャリアアップとそれに紐づく公平な人事評価の制度構築―がなされるよう要望しました。

 官僚の方々からは「労働局の対応、法体系やルールの不備があるのであれば、本日のご意見も踏まえて是非検討していきたい」という趣旨の回答を頂きました。

 私は、自身の権利の回復を強く求めて行動すると共に、派遣を含む非正規労働者を取り囲む環境も日々大きく変化していますが、非正規労働者であっても十分日々の暮らしを安心して過ごせるような環境づくりに今後も全力で取り組んでいきたいと考えております。

      (匿名希望)

労働局は雇用主を守るだけ/現行法活かし権利守る

 私は「派遣社員」という働き方自体を否定はしない。しかしそれは、法的に派遣労働者が守られるならば、ということが絶対条件である。残念ながら、派遣労働者は不当な理由で「雇い止め」されても法的には一切守られず、労働局や弁護士に相談しても法的には問題ないと言われ、泣き寝入りをするパターンが多い。

 私自身も派遣先からの虚偽事実を理由に、雇い止めという名の解雇に遭った当事者である。就業条件明示書に虚偽事実の記載があったことも判明し、派遣元は過去の契約期間に遡(さかのぼ)り正しく記載された明示書を再発行した。とはいえ契約期間中は誤った明示書を基に勤務していたわけだから、派遣法管轄の労働局需給調整課に法違反を申告したが、なんと労働局は「再発行されており、是正されているから法違反とは言えない」と突き返したのである。

 「では、万引きしても物を返せば罪に問われないのと同じじゃないですか? 労働局は雇用主を守るためだけに存在しているように思えます」。私は労働局の担当者に言った。

 7月、厚労省に派遣問題について要請する機会があった。派遣会社の脱法行為が横行している実態を明らかにし、多くの派遣労働者が被害に遭っている事実や派遣法の問題点、労働局の窓口で水際作戦が行われている疑惑を指摘した。

 厚労省担当者は、派遣労働者が労働局に相談する際に、たらい回しされないように窓口を統一する必要があるという見解を述べた。

 私は不当な理由で雇い止めに遭い、それがどれだけ不当だと証明できても派遣労働者は法的に守られないことを身をもって知った。

 派遣労働者を守る法改正は必要であるが簡単ではないだろう。それならば、現状の法律を活かして派遣労働者の雇用・権利を守る方法を首都圏なかまユニオンを通して実現するつもりだ。私一人の問題ではなく、日本で働く多くの派遣労働者の人権を守るために。

      (蘭 丸子)



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