2020年08月28日 1638号

【フィリピン民衆とともに 海を越えたコロナ禍との闘い 現地とオンラインでつながる】

 7月26日、ZENKOin大阪の「海を越えて コロナ禍と闘う フィリピン民衆とともに〜軍事費ではなく、命と暮らし教育を!」をテーマとした分科会は、フィリピン現地のアバカダ(ABAKADA、マニラ首都圏の貧困地域の就学前教育施設)、大阪・東京会場、沖縄をオンラインでつなぎ33名の参加となった。

 アバカダから運営者ポール・ガランさん、アミーさんなどスタッフ計9名、日本側は、2月フィリピンツアー参加者や、関東子ども全交の中高生・大学生、社会人の若者、保護者が参加。英語・タガログ語も交え、コロナ被害の交流を直接できた意味合いは大きい。

 ポールさんが「教育省が対面授業を禁止して遠隔在宅教育の実施を通達し、貧困家庭の子どもたちが教育の機会を奪われている」と現状を報告。ベテランのエステリータ先生は「親が家で子どもに教えられるよう講習する」、アバカダの卒業生でもあるロセッタ先生は「貧しい子どもたちに教育の機会を保障するのが使命。スマホやユーチューブを使って安く受けられる授業を準備中」と明るく語る。縫製担当のレイヤーさんは「マスクを作っている。日本の皆さん注文してください」と発信した。

 医療問題研究会・森医師のコロナ問題セミナーを受け、子どもたちの現状交流もできた。先生らは「貧困地域の子どもは、狭い家の中でテレビを見るか、ゴロゴロしている。あとは親の手伝い」。沖縄在住の大学生Nさんは「米軍基地からの感染拡大で、再びオンライン授業に」と話した。

 「日本で、学校・保育園を開いて大丈夫か」とのアミーさんの質問に、関東のOさんは「感染予防のため、保育所では遊具をセレクトして使用後は消毒。少人数で遊べる工夫をしている」。森医師も「子どもには学校にいけないことの弊害の方が大きい」と指摘した。

 関西から「PCR検査拡大、20人学級、教員増員」など自治体要請行動を紹介し、ポールさんが「保護者にコロナセミナーをし、政府への要請も考えたい」と応える。ドゥテルテ政権の強権支配下、アバカダスタッフに正しい情報を提供できたことはとても貴重だ。

 「『平和な世界』をオンラインで歌えてうれしかった」と語る中学生のTさん。保護者のMさんも「現状を直接知れて、一緒に頑張りたい」。「オンラインの方法を改善して文化交流もしていきたい」と若者たち。

 海を越えたオンライン交流で、コロナ禍をしたたかに乗り越えるエネルギーがわいてきた分科会だった。

(AKAY(アカイ)プロジェクトをともに創る会・古武家(こぶけ)育子)



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