2020年09月04日 1639号

【躍進するDSA(アメリカ民主主義的社会主義者) ニューヨーク州は社会主義者議員団へ】

 日本のメディアは米大統領選のトランプとバイデンの動向しか伝えないが、米国では今、社会主義的変革を掲げる勢力がかつてない前進を切り開いている。

 とりわけDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)が連邦議会下院と自治体議会の民主党予備選挙で大きく躍進したのは画期的だ。

 連邦下院議員では、現職の2人、アレクサンドリア・オカシオコルテス(ニューヨーク州)とラシーダ・トレイブ(ミシガン州)が対立候補に数十ポイント差をつけて圧勝。ニューヨーク州のもう一人のDSA推薦候補ジャマール・バウマンは61・8%を得票し、30年間議席を維持していた民主党タカ派の重鎮(イラク戦争に賛成しイラン核合意に反対)に勝利。政界に「激震」を走らせた。

 ミズーリ州では、2014年ファーガソン事件(白人警官が黒人青年を射殺)からBLM(黒人の命を軽んずるな)運動の先頭に立ってきたDSA推薦候補コーリー・ブッシュが、10期連続の現職議員に対し2年前の予備選から得票率を23ポイント上げ逆転。この歴史的勝利は驚愕の番狂わせ≠ニ称された。彼女の選対本部は「選挙区全域で25万件の電話をかけ、60万本の携帯メールを送り、2万軒のドアをノックした―新型コロナの世界的大流行の最中にも―」と伝えている。

 DSAニューヨーク支部は、州議会予備選で5人の候補を全員当選させた。州上院2人、州下院3人の民主主義的社会主義者の議員団を構成し、「社会主義ニューヨーク」をめざして「根本的な変革と労働者の権利を勝ち取る闘いの委任」を受けることになる。

 こうした前進は、DSAが、コロナ危機の下で命と健康を守る活動を組織し、住居追い出しに家賃ストライキで反対し、BLM運動や警察の予算打ち切りを求める闘いを担い、安全と賃上げを求めるストライキを闘ったことでもたらされた。また、メディケア・フォー・オール(すべての人への公的医療保険制度)やグリーン・ニューディール、大学授業料無償化、大企業・金持ちへの課税強化など、社会主義的対案を明確に打ち出したことが支持された。それは、SNSなどの広範な発信とともに、戸別訪問をはじめ一人ひとりに働きかけ変革し支持を勝ち取る活動の勝利である。

 ニューヨーク州下院予備選で当選したマーセル・ミタイネスは勝利の第一声で「私は千人の労働者階級の人びとがこの選挙運動を作り上げたことに感激している。私たちの運動に参加しよう。DSAの会員になろう」と呼びかけた。

 DSAはこの1年で会員1万人を増やし7万人の社会主義組織に成長している。

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