2020年09月04日 1639号

【感染発生も無視し辺野古工事強行 違法不法を隠すドローン規制NO】

 コロナウイルス感染拡大で沖縄県が危機的事態に瀕している。8月6〜12日の人口10万人当たり感染者は42・62人と全国のワーストとなり、東京都(15・66人、8/13)の約2・7倍に上った。県は警戒レベルを最高の4(感染蔓延期)に引き上げ、県独自の緊急事態宣言を8月29日まで延長した。

工事停止を緊急申し入れ

 こうした最中、辺野古新基地建設工事現場で作業員に感染者が出たが、4月の発生時は中止したにもかかわらず工事を続行。8月18日には、辺野古側の護岸内の埋め立てを加速させるために、名護市安和(あわ)桟橋と本部(もとぶ)町塩川港で1日では過去最大の大型ダンプ1395台もの土砂積み出しが夜8時まで続けられた。

 8月21日、オール沖縄会議と「うりずんの会」(県選出野党国会議員団)による沖縄防衛局交渉が行われた。緊急事態宣言が延長され県内のコロナ感染拡大対策が逼(ひっ)迫している中で、辺野古工事の停止など緊急の申し入れだ。

 国はさらに、新基地建設工事を市民やマスコミの眼から隠すため、ドローン規制法による禁止区域を拡大した。この問題について、沖縄ドローンプロジェクトの奥間政則さんから手記が寄せられた。

(ZENKO全国事務局・西岡信之)

不正を隠す禁止拡大 弾圧にひるまず監視続ける 沖縄ドローンプロジェクト 奥間政則

 私は、防衛局の工事進捗状況だけでなく工事の不正を暴くことを目的として、辺野古や高江でドキュメンタリー映画を製作している「森の映画社」に呼びかけて2018年1月「沖縄ドローンプロジェクト」を立ち上げた。

 海洋工事の経験を活かして、あらゆる角度から俯瞰(ふかん)できるドローンを活用することで、防衛局が不正に濁り水を流出する証拠写真を撮影し公表してきた。それを脅威に感じた政府は、2019年6月にドローンを弾圧するための「改正ドローン規制法」を強行採決し施行した。この規制法は国内法だから米軍施設に適用するのは難しいと、辺野古のゲート前でも全国の講演でも述べてきたが、その考えはあっさりと覆された。

 規制は、明らかに辺野古の設計変更を見据えて、大型重機を用いた大浦湾の工事で発生する濁り水を撮影させないための動きだとみている。8月7日、防衛省がホームページで告示した14の自衛隊施設と15の在日米軍施設が新たにドローンの飛行禁止対象となり、そこに辺野古も含まれている。

 米軍施設は9月6日から規制されることになる。この発表を受けて沖縄ドローンプロジェクトとしては、弁護団とも緊急会議を設けて対策を検討した。

ドローン調査に警官

 防衛省が指定したドローンの飛行禁止区域を把握するために8月14日、辺野古でドローン調査を行った。終わる頃に通報を受けたとして名護署の警官が3人来たが、まだ規制はかかっていないので身分証や許可書、機材の確認程度だった。その後2人が加わり、この日は合計5人の警官が我々の調査を監視に来た。

 これまでと明らかに違うことは、後からの2人のうち1人は機動隊員、もう一人は身なりからして軍警(米軍憲兵関係者)のように見えた。今までにない物々しい雰囲気で、9月6日以降は確実に弾圧するという視線を感じた。

 8月18日にも通報を受けて警官が来たが、初対面の警官に「あなたが奥間さんですか」と聞かれた。ドローン撮影をしている人たちがどこの所属かなど知らないはず。面識もない警官が私の名前を出したことは、完全に警察にマークされているのだと認識した。

 規制後も撮影を続けるが、上空を飛んでいるドローンが禁止区域に入ったとしてもどのように警察が確認するのかわからない。誤認逮捕も充分ありうるので、対抗策として、GPSでドローンを制御できるアプリを導入し、毅然と対応する準備をしている。

 不当な弾圧には決してひるむことなく、沖縄ドローンプロジェクトはこれからも活動を続けていく。





 
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