2020年09月04日 1639号
【ZENKO分科会 尊厳ある介護ができるコロナ対策を PCR検査の拡充は待ったなし 現場は危機的事態】
|
7月26日、第50回平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKOin大阪)「尊厳ある介護ができるコロナ対策を」分科会が開催されました。大阪・東京会場をズームで結び、コロナ禍の下の介護・医療現場の状況を交流。「医療・福祉・介護従事者へのPCR検査拡充」の必要性を確認し、決議として発信しました。
基調報告で明らかにされたのは、安倍政権の「骨太方針2020」「全世代型社会保障検討会議報告」から、ケアプラン作成のAI(人工知能)化、介護現場のロボット化 データや提出書類のデジタル化が、コロナ禍を利用して進められようとしていることです。
人手不足の解決策として介護の「効率化」が強調されます。しかし、AIによる機械的対応では、利用者一人一人の状態を踏まえたケアプランは作れません。利用者に寄り添わなければならない介護支援はロボットでは代替できません。介護現場では利用者と介護者間の信頼関係が不可欠です。デジタル化はこの信頼関係を断ち切り、利用者の尊厳を侵害します。それは、デジタル関連企業の市場拡大を狙ったものです。
介護労働者不足は、全職種平均より約10万円低い賃金、過酷な労働環境が招いており、この抜本的改善なしに解決はありません。
深刻な感染リスク
コロナ禍による現場の深刻な実情が報告されました。
東京の小規模多機能事業所では、直前に従事者1名のコロナ感染が確認され、自宅からズームでの報告でした。幸いにも他の従事者や利用者には感染はありませんでしたが、継続しなければならない介護支援は大変な緊張のもとに続けられました。「小規模多機能事業所は完全には休止できない。放っておけない利用者への訪問がある。PCR検査がすぐ受けられることが必要」と強調しました。
兵庫県のデイサービス事業所は、利用者減で収入が減り事業継続の危機となりました。「コロナ禍で、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームからの利用者は、施設管理者からの利用許可がおりず通所を控えさせられた。そのため認知症が進行した」「従事者は利用者に感染させるリスクと自分たちが感染するリスクを日々恐れている。ところが、防護のためのマスク、消毒液はいまだに十分でない」と訴えます。「国が介護従事者や高齢者を切り捨てている実態がはっきり見えてきた。地元自治体への要望を継続する」と、怒りを込めて決意を語りました。
なかまユニオンは、介護労働者のコロナ緊急アンケートから見えた実態を紹介。「6月段階でもマスクや消毒液が不足し、手袋、フェイスシールド、エプロン、防護服がない。使い回し、手作り、ごみ袋の代用でしのいでいる」「施設の閉鎖、面会・外出の制限で利用者がイライラしている」「利用者が減少し、コロナ対策費用もかかっているが、補償はない」「身体介護で三密状態、募集しても人が来ない。感染の恐れを抱えていつまで仕事が続くか」など、利用者、事業者、介護労働者とも危機的な状況です。
補償を 給与引き上げを
東京の感染症協力病院からも「4、5月のピーク時は重症者、中等者の要請続出。ICU(集中治療室)はコロナ専用、90床をコロナ専用病棟に切り替え、手術件数は50%に減少した。防護資材が不足し、職員PCR検査、体制も不十分」など病院の通常業務へのしわ寄せ、職員の感染リスクなどが語られました。
最後に、▽医療・福祉・介護従事者、利用者が必要な時にPCR・抗原検査を受けることができる検査体制の拡充▽コロナの影響で収入が減少した介護事業者への補償▽介護職員の待遇改善・確保のために給与を一律10万円引き上げる―など緊急の対策を確認し決議しました。
(大阪・平和で豊かな枚方を市民みんなでつくる会・手塚たかひろ)
 |
|