2020年09月04日 1639号

【福島原発千葉訴訟控訴審が結審 国の責任を必ず 判決は来年2月19日】

 福島原発千葉訴訟第1陣の控訴審は8月21日に結審し、判決は来年2月19日と決まった。結審当日は約70人の原告・支援者が集まり、裁判前後に高裁前集会を開催、1万5528筆の公正判決署名の提出を行った。

 報告集会で福武公子弁護団長は8回にわたる控訴審をまとめた。「千葉地裁判決は国の責任を免罪したが、ふるさと喪失慰謝料はきちんと認めた。高裁の争点は国の責任を認めさせ、低い損害賠償金を上げることだった。東京電力刑事裁判で明らかにされた現場での長期評価に基づく津波対策議論を活用し、水密化などの対策で結果回避できたことを証明してきた。裁判官には浪江・飯舘(いいたて)など現地にも出向いてもらった。きっと国の責任は認められ、賠償は上積みされるはずだ」

 今後の見通しを述べた。東電だけを相手取った裁判で今年3月の仙台高裁判決・東京高裁判決はいずれも賠償責任を求めたが、東電は上告し最高裁に舞台が移されている。「そこで東電は元最高裁判事名で、最高裁あて意見書を出させた。内容は96%の人が『中間指針』の額に満足し喜んで受け取っているんだから、このスキームを打ち壊すことは裁判がめちゃくちゃになってしまう、といったもの。非常におかしな話だ」と警鐘を鳴らした。

 一方国も相手取った生業訴訟(なりわい)が9月に仙台高裁で、群馬訴訟が来年1月、この千葉訴訟が2月東京高裁で判決を迎える。「どんな結論でも最高裁まで上げられるが、最高裁は3件の高裁判決をまとめて2年後ぐらいに統一見解を出してくるだろう。その後は、判例となって地裁・高裁の判決を縛っていくことになるので、3件の勝訴は極めて重要だ」と訴えた。

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