2020年09月04日 1639号

【9月に「住宅追い出しを許さない会」/原発被害者切り捨てに反撃】

 福島県が国家公務員宿舎入居の区域外避難者4世帯を相手に“明け渡し訴訟”を起こした(3/25)のは重大な人権侵害だとして、原発避難者住宅裁判を準備する会(熊本美彌子世話人代表)は9月に「避難者の住宅追い出しを許さない会」を発足させ、支援を強化する運動を開始する。

 福島県は同訴訟をコロナ禍のさなか、しかも福島地裁に提訴した。東京在住当事者の意見陳述の機会を奪うものだ。4月に第1回期日の呼出状が届いたが、2世帯は東京地裁での審理を求めて移送を申し立て。福島地裁が却下したため、仙台高裁に抗告している。

 住宅追い出しは、原発被災者を保護すべき行政がその努力を放棄し、経済的精神的に追いつめる犯罪的行為だ。「家主」である国・財務省の責任も問われる。被災者に適用される国連の「国内避難民に関する指導原則」や、住生活基本法6条(居住の安定の確保)など国内法にも違反する。

 当面、オンラインによる宣伝で入会・カンパを呼びかける。準備する会の小川正明さんは「不当にも被告にされた避難者は原発被災者救済制度や法律の不備の犠牲者。これを許したら避難者切り捨ては固定化され、悪い前例となる。権利の問題として国際的にも訴え、支え励ましていきたい」と話している。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS