2020年09月11日 1640号

【1640号主張 根本的変革の道へ 安倍は打倒された】

 8月28日、安倍首相は辞任表明した。最大課題の改憲もできず「志半ばで職を去ることは断腸の思いだ」(記者会見)。安倍は、改憲の発議さえ許さなかった市民の怒り、闘いに追いつめられ辞任に至ったのであり、打倒されたのである。

 コロナ危機に対する安倍政権の対策はことごとく市民の怒りを招いた。根拠のない全国一斉休校、アベノマスク、給付金事業の電通への丸投げ、感染拡大のGoToキャンペーンなど挙げればきりがない。絶対必要な医療体制の整備を進めず、PCR検査は抑制し続けた。安倍はコロナから市民を守らず、新自由主義路線の延長線上にコロナ対策を行ってきた。グローバル資本には金融支援、株価対策としての日銀買い入れを実行した。一方、1回限りの特別給付金は市民の生活保障には全く足りない。

 批判の声はかつてなく高まり、あらわとなったアベノミクス大失敗とあいまって、内閣支持率は大幅に低下した。コロナ危機に対し、グローバル資本の利益を優先し市民の命と生活をないがしろにした安倍政権は打倒された。

グローバル資本の政権

 安倍は何をしてきたか。

 まず、グローバル資本の利益を徹底して追求した。「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするために、法人税減税、金融緩和、株価維持を行った。労働者の保護を外し、派遣労働者を大幅に増やした。次に、グローバル資本の権益拡大のために海外で軍事行動ができる体制を整備した。集団的自衛権行使を容認し、戦争法、秘密保護法、共謀罪法を制定し、武力行使準備を進めた。沖縄辺野古新基地建設、軍備拡充を進めた。市民に対しては、2度の消費税増税、社会保障切り捨てを行った。実質賃金を抑制し格差を拡大させた。

 こうした政策を進めるにあたり、徹底した反民主主義路線をとった。安倍と官邸官僚で勝手に政策を決め、国会を無視し、強行した。思いあがった安倍と官邸官僚は、「モリカケ」「桜」、検事長定年延長など自らの腐敗を進行させた。

民主主義的社会主義へ

 安倍はこれらを選挙で勝つことで進めてきた。しかし市民の闘いは粘り強く続いた。反原発、戦争法反対が底流となり安倍批判勢力を築いた。この闘いの上に、コロナ危機という事態に対し、安倍の新自由主義路線では命と生活は守れないと強く自覚した市民の怒りが安倍不支持の広範な世論となり、辞任に追いこんだ。

 安倍政権はメディアを統制し、市民への情報操作で支配を維持してきた。だが、これ以上でたらめをごまかすことはできなくなったのである。

 今必要なことは、命、生活無視のコロナ対策が新自由主義路線の必然的帰結であることを明らかにし、日本社会の根本的変革、民主主義的社会主義に進むことである。安倍政権を打倒した力に確信を持ち、変革の道を進もう。

  (8月30日) 
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS