2020年09月11日 1640号

【歴代最長で歴代最悪の政権/生活を破壊し戦争国家づくり】

 日本国憲法を「敗戦国のわび証文」と忌み嫌う安倍首相は、その破壊に執念を燃やし続けた。日本を本格的な軍事大国に改造するためである。安倍にとっては新自由主義「改革」も軍事力増強の土台をつくるという意義を持っていた。

 まず、自衛隊が海外でも武力行使できるように集団的自衛権の行使を容認した。60年以上積み上げられてきた憲法解釈を「閣議決定」で変えたのだ(14年7月)。翌年9月には、その具体化である安保関連法(戦争法)を世論の反対を押し切って制定した。

 戦争を遂行するためには反対運動の封じ込めが欠かせない。不都合な情報を覆い隠すために「特定秘密保護法」を制定(13年12月)。市民の生活ひいては心の中までに監視の眼を光らせるために「共謀罪」を導入した(17年6月)。

 「日米同盟は血の同盟」とうそぶく安倍首相は、沖縄の民意を無視して米軍基地建設を強行した。米国産兵器を爆買いすると同時に、武器輸出を禁じてきた「三原則」を撤廃した。

 際立った歴史修正主義と排外主義の煽動も安倍政権の大きな特徴である。戦争国家づくりを下から支えるナショナリズムの醸成を教育・文化・思想の全般にわたってくわだてた。

 「世界で一番ビジネスがしやすい環境を作る」と豪語し、大企業や富裕層をとことん儲けさせる政策を労働者の犠牲の上に展開した。規制緩和の正体は国家私物化であり、森友・加計事件のようなスキャンダルの温床となった。「首相の嘘」を隠すために、公文書の隠蔽や統計偽造が横行した。

 一方、2度にわたる消費税増税や社会保障費削減で市民に負担を押しつけた。医療・福祉を市場原理に委ね、切り捨てた。そのツケが現在のコロナ禍でまわってきたのである。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS