2020年09月18日 1641号

【みるよむ(562) 2020年9月5日配信 イラク平和テレビ局in Japan コロナ危機の経済とイラク労働者 ―安全に暮らせるコロナ対策を―】

 イラクではコロナ危機と石油価格下落によって不況が強まっている。そして賃金の削減や未払いが増加している。2020年5月、サナテレビはコロナ危機さ中のバグダッドで、市民、労働者に生活の厳しさについてインタビューした。

 最初に登場する男性は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下の政府のやり口を批判する。コロナ危機と経済危機を口実に、政府は労働者の賃金を25%から50%も削減するというのだ。

 これほど大幅な賃金引き下げをすればどうなるか。食料品購入をはじめ生活費が足りなくなる人が続出するだろう。イラクでは昨年10月から市民蜂起が続き、汚職まみれの政府と賃金引き下げ、社会サービスの欠落に対して市民が長期間の抗議デモを行ってきた。パンデミックは市民生活に一層の打撃を与えている。

賃金削減ノーで闘う

 2番目に登場する女性労働者は、賃金引き下げ攻撃にさらされている労働者の苦しみを訴える。労働者の大多数は賃金収入だけで暮らしている。まさに生活直撃だ。とりわけ、女性労働者への打撃は深刻だ。「賃金だけで生活している女性労働者は夫を亡くしたり離婚した女性です」。さらに、賃金の遅配も頻繁に起こっている。一方、ごく少数の資本家や年収数千万円の国会議員、高級官僚は安楽な暮らしを続けている。女性労働者の怒りが伝わる。

 米国、ヨーロッパ、日本でも、グローバル資本が大量の失業を生み出し、賃金の削減、未払いを続出させている。全世界の労働者が同じ問題に直面している。

 イラクでは賃金の削減・遅配に反対し、労働組合や若者、女性、市民団体が政府に対して労働者の権利擁護と安全に暮らせる新型コロナ対策を要求している。日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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