2020年09月25日 1642号

【辺野古新基地強行の張本人/菅義偉にただちにノー/設計変更不承認求める意見書を】

 沖縄県独自の緊急事態宣言が約1か月間続き、その後、大型の台風9号、10号が沖縄を襲った。9月7日、辺野古キャンプ・シュワブゲート前に久々に市民が戻ってきた。台風対策で片付けていたテント村も設営され、いつもと同じようにコロナ感染対策を講じてゲート前の座り込みが始まった。

 2004年から辺野古の闘いの最前線だった辺野古漁協横のテント村から現在のゲート前のテント村に闘いの舞台が移ったのは、第2次安倍政権が発足して1年6か月後の2014年7月、基地建設工事に着手したからだ。それまでは文書などの手続きは進めるが、実際にダンプを動かし県警機動隊を動員して市民を排除することまではなかった。安倍政権は、基地建設を実行した初の政権だった。

 しかし8月28日、安倍首相は市民の怒りと闘いの前に辞任表明した。ゲート前のテント村の闘いの歴史は安倍政権との闘いであった。その安倍は倒れたが、安倍政治を継承する菅義偉(よしひで)官房長官が次期総理大臣に就任する。菅は安倍政権下で最も強硬な辺野古新基地建設推進者の一人だった。政権の司令塔として、沖縄にしてきたことを振り返る。

「粛々」の菅を許さない

 2014年11月の沖縄県知事選で新基地阻止を掲げた翁長雄志(たけし)新知事が誕生したにもかかわらず、官房長官だった菅は「わが国は法治国家」「粛々と進める」などの発言を会見で乱発し辺野古工事を続行した。翁長前知事は、菅を、圧政で知られる米軍統治時代のキャラウェー高等弁務官になぞらえ県民とともに厳しく批判。「粛々」の言葉は一時封印に追い込まれた。

 菅は、米軍基地「県内移設」と振興策のリンクを示唆し、「辺野古の工事が進まなければ予算が少なくなるのは当然ではないか」とくりかえしてきた。9月3日の定例会見でも「(基地問題と振興策は)リンクしている」と言い放った。

 稲嶺進前名護市長が辺野古新基地建設に反対していた2015年には、名護市を通さず久辺3区(久志、豊原、辺野古)に直接交付する補助金を創設。2019年には同様に沖縄県を通さず市町村に直接交付する特定事業推進費を設けた。新基地建設に反対しない市町村には高額の振興策の予算を計上し、「オール沖縄会議」からの離反と自民党と経済界が主導する「チーム沖縄」への参加を促進した。露骨な手で県民を分断し続けた張本人が菅だ。

 安倍が県民から嫌悪されている中、沖縄に乗り込んで知事選、名護市長選などの陣頭指揮をとってきたのも菅だ。業界団体への締め付けなどに力を注ぎ、自民党を勢いづかせようとした。2018年知事選でも、名護、宜野湾、沖縄、うるま、浦添、石垣、宮古島などの各市長が翁長前知事を継承する玉城デニー支持につかないように画策した。

会見でも推進強調

 辺野古新基地建設の最大の工事を担当しているのが大手ゼネコンの大成建設。菅の息子は大成建設社員だ。菅は、9月2日の自民党総裁選出馬会見で「辺野古に移設することで普天間飛行場の危険性除去が実現できる。そうした中で進めていることもぜひご理解いただきたい」と述べ、辺野古新基地建設を推進することを改めて強調した。辺野古埋め立ての土砂を供給する名護市安和桟橋は琉球セメント所有だが、その上部企業が山口県の宇部興産で地元を通じ安倍とつながっていた。こうした構図を菅も継承している。

 グローバル資本の権益を最優先する菅に、県民の民意を聞く姿勢はない。沖縄から全国から菅ノー≠フ声を広げなければならない。

意見書は9月28日まで

 9月8日、辺野古新基地「設計概要変更承認申請書」が告示された。玉城知事の申請不承認を後押しする意見書運動が呼びかけられている。平和と貴重な自然環境を破壊し、2兆5千億円(県試算)もの巨額の税金を投入する工事は、誰もが利害関係人だ。期間は28日までの3週間。全国から意見書を集中しよう。 (N)

◆意見書提出先:沖縄県土木建築部海岸防災課 〒900-8570 那覇市泉崎1-2-2 FAX:098-860-3164 メール:umetateiken@pref.okinawa.lg.jp



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