2020年09月25日 1642号

【みるよむ(563) 2020年9月12日配信 イラク平和テレビ局in Japan コロナ危機の下で 市民は政府に補償を要求する】

 イラクでは、新型コロナウイルス感染症が急速に広がり、外出禁止令が出され、都市封鎖が行われた。しかし、その下で自宅隔離によって仕事ができず収入を失った労働者に対する補償はほとんどない。2020年5月、サナテレビはこの問題についてバグダッド市民にインタビューした。

 市民は、自宅隔離状態の市民生活への対応のひどさに憤る。イラクでも、自宅隔離をした人は政府に支援金を申請できる。申請者は人口の半数1800万人にのぼったという。ところが、その支援金の内容は、5人の家族ごとに1か月3万ディナール(25ドル=約2600円)にすぎない。市民は「『1か月3万ディナール、つまり1日80セント(約84円)で生きろ』と言うのがまともなことですか?」と怒りをぶつける。

 さらに、同じコロナ被害を被っても、市民の間に違いが現れている。公共部門の労働者はまがりなりにも賃金が払われている。だが、日給の労働者は収入がなくなってしまった。市民は、担当の役所や議会に「こんな問題を解決するために議員に投票したのだ」と問題解決を強く要求する。

連帯して補償を訴える

 イラクでも、欧米、日本でも、状況はよく似ている。グローバル資本は金儲けを続けているが、政府が十分な補償をせず、市民は困り果てている。

 最後に登場する市民は、政府の無策によって健康上の被害も大きくなっていることを批判する。同時に「人びとの間には社会的連帯感と寛大な心がある」と指摘する。相互の連帯によって健康と安全を守り、政府に補償を突きつけていこうと訴えている。

 サナテレビは、自宅隔離で収入を失っても補償がない実態を直接の声で明らかにしている。そして、市民の健康を守るとともに政府に生活補償を要求しようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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