2020年09月25日 1642号

【高齢者施設の実例を突きつけ、対応引き出す 西宮市にコロナ対策要請】

 8月26日、ZENKO兵庫は西宮市の新型コロナウイルス感染症対策室と法人指導課に対し、要請を行いました。市内でも高齢者施設で「集団感染」(クラスター)が発生しています。市の検査体制と対応では高齢者施設での感染拡大防止はできないことを示す「感染事例」の実例を突きつけ、見解をただしました。

 重症化リスクの高い高齢者施設の感染対策が急務であることを訴え、(1)医療・介護職員の濃厚接触者の追跡を優先的に行うこと(2)介護事業所への「感染対策マニュアル」の作成と通知(3)高齢者施設の介護職員、利用者、同居家族の「感染疑い対象者」に対する即時PCR検査実施―の3項目を要請しました。今回は、事前に要請内容を伝えた市議会議員も同席しました。

 市の担当者は「国の指針に沿って先月から濃厚接触者全員を追跡調査することになり、人員が足りていない」「高齢者施設検査拡大へ、国の方針が示されたら対応する」との答弁でした。

 それに対して現場から実例を示して追及し、「感染防止が事業所まかせになっていて統一したマニュアルもない。実際に感染が起こったら小規模の事業所はつぶれてしまうという不安がある」などの声を伝えました。追及に、市の担当者も国の方針どおりだけでは感染拡大の可能性があることを認めざるを得ませんでした。そして、担当者から「とりあえず現状で対応できることは、やれる方向で検討したい」との返答を引き出すことができました。現場の生の声を伝えることで行政も動かすことができると確信し、これからも要請を続けていきます。

(ZENKO兵庫・松谷卓人)

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