2020年10月02日 1643号

【1643号主張 腐敗と新自由主義継承 菅では命をまもれない】

安倍政権を継承

 9月16日、菅義偉(よしひで)が臨時国会で第99代内閣総理大臣に指名され、菅内閣が発足した。新閣僚は20人中5人のみ。残りは安倍政権からの残留・横滑りと再入閣組で占められ、メディアも「新鮮味なし」と評する。「安倍政権の継承」をうたう以上当然だ。「モリ」「カケ」や河井夫妻公選法違反、「桜を見る会」に招待を受けていた詐欺集団「ジャパンライフ」会長らの逮捕など、疑惑・腐敗はさらに噴出している。安倍に近い多くの閣僚再任は、これらへの追及の封じ込めと一体だ。

 菅は、初閣議で決定した基本方針で、安倍が口先だけでも言及していた東日本大震災からの「復興」にも原発事故にも触れなかった。都合の悪い事実はシュレッダーにかけて消し去った安倍政権を文字通り継承している。敵基地攻撃能力保有の議論や洋上イージス推進などの戦争国家路線も変わらない。

新自由主義強化を宣言

 菅は、首相就任の翌々日18日には人材派遣大手パソナグループの竹中平蔵会長と会食。パソナは、持続化給付金事業で電通と組んで零細企業を食い物にし、批判を受けたばかりだ。

 小泉政権末期、菅は総務副大臣として竹中総務相を支えた。この2000年代以降、派遣労働原則解禁など労働規制緩和で全労働者に低賃金、長時間労働、解雇の本格的攻撃が加速した。あらゆる公共サービスの民営化が進行し、市民に健康で文化的な生活を保障するためのセーフティーネットは次々と破壊された。コロナ禍での無残な医療崩壊も、新自由主義がもたらした必然的帰結であった。

 自ら支えた日本の新自由主義教祖≠フ下に真っ先に出向き、いっそうの規制緩和貫徹を誓う菅。だが、新自由主義こそ今日の事態を引き起こした元凶だ。新自由主義をさらに強化する政策では、事態がさらに悪化することはあっても解決などできるわけがない。

迎えうつ市民の闘い

 もちろん菅の思惑通りに事は運ばない。新自由主義の恐ろしさを市民の多くが知らなかった小泉政権当時と異なり、今は誰もが知っている。一歩街に出れば、医療、福祉、教育、公共交通、郵便事業、水道などさまざまな削減攻撃や民営化に対する怒りの声があちこちから聞こえてくる。当時と比べて強化、多様化された市民の闘いが菅を待つ。

 9月18日、都内ではさようなら原発集会が開催。戦争法強行可決から5年を迎えた翌19日も各地で戦争法廃止を求める集会が行われた。戦争、原発、新自由主義に反対する市民の闘いは、見せかけの看板かけかえ、政権たらい回しなどにだまされることなく続く。命切り捨ての新自由主義から、命を守る民主主義的社会主義へ。今こそ変革のときだ。

  (9月20日) 
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