2020年10月02日 1643号

【「桜を見る会」を詐欺に利用/ジャパンライフも「安倍・菅案件」】

 預託商法を展開していた「ジャパンライフ」の元会長ら14人が9月18日、詐欺容疑で一斉に逮捕された。同社は安倍晋三首相(当時)が主催した2015年の「桜を見る会」に元会長が招待されたことを顧客の勧誘に利用していた。招待には首相推薦枠が使われた疑惑があり、野党は政府に再調査を求めている。

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 ジャパンライフは高齢者を中心とした延べ約1万人から2100億円をだましとっていた。その手口は政治家や有名人とのつながりをアピールし、信用させるというもの。全財産の約8千万円を同社に投じた神奈川県の女性(79)は、「安倍晋三前首相や大臣が広告塔になっていたので信用してしまった」とうなだれる(9/18毎日)。大臣とは加藤勝信厚生労働相(現官房長官)のことだ。

 ジャパンライフの被害が国民生活センターなどに届きはじめたのは2013年の頃。消費者庁は立ち入り検査を検討していたが、なぜか取りやめになった。その背景を記した同庁の資料には「本件の特異性」「政治的背景にある余波懸念」との文言がある。

 同社及び関連団体には内閣府や経産省のOBがたくさん天下っていた。また、多くの政治家に「お中元」をばらまいていた。発送リストには、安倍前首相や菅義偉官房長官(現首相)、麻生太郎財務相ら名前があった。つまり、政治家や官僚との「緊密な関係」を使って、摘発から逃れてきた疑いが強いのだ。

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 加藤官房長官は「名簿が保存されていない」ことを理由に、「桜を見る会」問題の再調査に否定的な考えを示した。田中真紀子元外相は、菅政権の役割を「安倍家の生ゴミのバケツのふた」と評した。言い得て妙とはこのことだ。
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