2020年10月09日 1644号

【沖縄辺野古 設計変更申請への意見書 全国から思いが集中 玉城デニー県政の不承認へ連帯】

 9月8日告示から開始された「辺野古新基地建設事業『設計概要変更承認申請』に係る意見書」提出運動は、3週間の縦覧期間終了の28日ぎりぎりまで続いた。

 大浦湾側の軟弱地盤の存在を認めざるを得なくなった国・沖縄防衛局は、コロナ感染拡大ただ中の4月21日、当初の計画を変更、公有水面埋立法による「設計概要変更承認申請」を沖縄県に提出した。公水法上、この承認なしには辺野古新基地建設工事を進めることができず、2013年12月仲井眞弘多(ひろかず)元知事の埋め立て承認の際にも、留意条件として今後設計変更する場合は県に変更承認申請することと明記されていた。

 沖縄防衛局が提出した変更申請は、添付図書等を含め2200ページもの膨大なものだが、肝心の軟弱地盤改良工事については、地盤の実態をはじめ工事で杭を打ち込む本数や直径、間隔など具体的な記載が一切ない代物だった。防衛局として自ら図面に書くこともできない、疑問だらけのとんでもない申請書と言わざるを得ない。

ZENKOは815通を提出

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、7月末ZENKOin大阪に沖縄からオンライン参加した沖縄平和市民連絡会・上間芳子さんの提案で、この意見書運動を決議に追加し、全力で意見書の集中、提出に取り組んだ。

 9月24日、ZENKOとして沖縄県に提出した意見書は全国19都道府県674通。28日段階の集約分は計815通に達し、韓国・代案文化連帯のユ・ミヒさんやフィリピン「戦争と貧困に反対する子どもと家族の運動」のポール・ガランさんも意見書を送った。

 沖縄では、沖縄平和市民連絡会や各地の島ぐるみ会議を中心に何度も意見書作成のための学習会が開催された。県庁前にノボリを立て意見書を記入する机が用意され、宜野座村の道の駅で意見書記入の街頭行動が行われるなど、コロナ禍の下でも辺野古新基地建設を阻止する最重要の取り組みとして位置付けられた。

 大阪府枚方市では、「何としても100を」と立てた目標に倍する206通が集まった。市民だけでなくあらゆる知人友人に呼びかけ、滋賀や和歌山、鳥取など他県からも意見書が寄せられた。各地で街頭で訴えるなど、新基地は造らせないという強い気持ちが多くの人びとの心をつなぎ沖縄連帯を築いた。

 815通の意見書には、一人ひとりの気持ちが込められている。署名運動とは異なり意見書提出運動では、記入者が玉城デニー知事に届くようにとそれぞれの思いをつづった。なかには、東京新聞や本紙の沖縄関連記事が貼り付けられ、これを読んでと訴えるような分厚い意見書もあった。

菅新政権にカウンター

 この意見書運動は、辺野古新基地建設工事強行を官房長官として指図した菅義偉(すがよしひで)に対する首相就任直後の最初のカウンターとなった。「辺野古反対」「菅ノー」の声を全国から上げることができた。また、沖縄―本土を結ぶ辺野古新基地を許さない圧倒的な意見書の集中は、不承認を決裁する玉城デニー知事を大きく励まし支えるものだ。今後想定される国・防衛局の不当な攻撃に対して、意見書1枚1枚の持つ重みはかぎりない。

 9月8日の告示前、すでに500通の意見書が県に届いていたという。県民の意見書にかける思いを示す500通。沖縄平和市民連絡会は、有効に生かすよう県に配慮を申し入れた。

 上間さんにZENKOで意見書が700近く集まったと報告すると「ありがとう。さすがです。10月以降、県外からの参加者もゲート前行動が緩和されると思う。体調管理してぜひゲート前に」と返事が届いた。

 県が沖縄防衛局の「設計変更申請」を不承認にすると、菅政権はどんな強硬手段に打って出るか。文字通り正念場の闘いが始まる。

 (ZENKO全国事務局・西岡信之) 









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