2020年10月09日 1644号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/核兵器廃絶へ地域から声を上げよう】

 戦後75周年の今年は広島・長崎の被爆から75周年でもあります。

 昨年12月の本欄に“地域から核廃絶・軍縮へ”のタイトルで寄稿し、今年が核軍縮の義務を明記した核不拡散条約(NPT)発効50周年であることにも触れました。

 核戦争などによる人類の絶滅を午前0時になぞらえ、現在がその何分前かを示す「世界終末時計」は午前0時100秒前となっているのです。気候変動の影響も含まれているとはいえ、核兵器を巡る情勢も悪化しています。

 トランプ大統領はINF(中距離核戦力)全廃条約を昨年夏に破棄。米ロの核軍拡が再び始まり、中国も核軍拡。国内でもイージス・アショアを撤回したのもつかの間、自民党からは敵基地攻撃能力なる主張が喧伝されています。

 広島・長崎・沖縄・東京大空襲など被爆・戦争体験とアジア諸国に対する植民地化・侵略戦争の加害の過去を振り返り、今こそ反核・軍縮の運動に立ち上がらなくてはならない時だと思います。

 この9月23日、日野市議会の前年度一般会計決算審議の際に大坪市長に平和事業と市長の決意を問いました。

 「核兵器禁止条約は徐々に批准が進んでいるけれど、なかなか実現が難しいと思っている。平和首長会議も日本政府にこれを批准するよう要望している。2020年は平和首長会議の目標である核兵器の全廃の目標年次であった。しかし残念ながら逆の方向に向きつつある。世界情勢はかなり厳しくなっている。日本を巡る状況も非常に危ない。自治体の運動というのはカメの歩みではあるけれど、平和首長会議は全世界の自治体が参加する会議。その一員として、日本の立場で、どうやったら核兵器を全廃できるのか戦争のない世界をどう実現できるのか、道のりはかなり厳しいけれど一歩一歩、しかし市民の暮らしと現場から始めるしかないのであって、その意味からも平和事業をこれからも発展させていきたい」

 市長答弁の2日前に地中海のマルタが核兵器禁止条約を批准しました。45か国目です。50か国を超えると条約は発効となります。決して悲観することはありません。

 辺野古新基地建設を止める闘いとともに核兵器廃絶と軍縮運動を正面に掲げ、世界の人々とともに核兵器のない戦争のない未来に向けて、平和への大道を歩もうと決意しています。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS