2020年10月09日 1644号

【憲法壊す「敵基地攻撃」/総がかりオンラインシンポジウム】

 日本が攻撃されていないのに自衛隊が他国に対して武力行使することを可能にする戦争法(安全保障関連法)の成立強行から5年。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などは9月26日、敵基地攻撃能力保有問題を主なテーマにオンラインでシンポジウムを開いた。

 最も進歩的と言われたドイツ・ワイマール憲法が骨抜きにされていった経過に引き寄せ、菅政権を「皇帝(安倍首相)は去ったが、将軍たちは残っている」と形容することから発言を始めたのは、名古屋学院大学教授の飯島滋明さん。「敵基地攻撃」について「発射位置の特定は実際は無理。防衛白書もそう認めている。かりに特定したとしても、反撃が届く前に発射場所は移動する」「相手から攻撃を受けたとき初めて武力行使を認める『専守防衛』の立場すら逸脱。自衛のためなら外国を攻撃していい、というのも行政解釈にすぎない」と物理的にも法的に成り立たないことを明らかにし、「敵基地攻撃論は『自衛』概念の危険性を広く訴えていくチャンスになる」と強調した。

 上智大学教授の中野晃一さんは「いかにして多くの人に届く言葉で『命を守る』選択肢を提示していけるか」を市民と野党の課題として提起。安保関連法に反対するママの会の長尾詩子さんは「だれの子どももころさせない。平和で、ジェンダー平等を含め多様性を認め合う、命を大切にする、分断のない社会をつくりたい」と話した。
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