2020年10月16日 1645号

【1645号 いま解雇禁止 検査拡大を 民主主義と命をまもれ】

学問の自由を破壊

 日本の科学者の代表機関とされる日本学術会議の新会員候補105人のうち6人の任命を菅首相が拒否し、衝撃が広がっている。

 日本学術会議法には「会員は同会議の推薦に基づき、総理大臣が任命する」とあるが、任命に関わる拒否権は首相にはない。政府自身、日本学術会議が「推薦したものは拒否しない」と一貫して明言してきた。日本学術会議は10月3日、候補者6人が任命されない理由の公表と、6人のすみやかな任命を求める要望書を菅首相に提出した。

 なぜ菅は任命を拒否したのか。学者であろうと政権批判は許さず、さらには戦争協力を拒む学術会議そのものを統制し服従強要を徹底するためだ。拒否された学者は、安倍と菅が進めた戦争法、秘密保護法、共謀罪などに反対していた。

 任命拒否は、学問の自由、民主主義を破壊する暴挙だ。

命と生活守る政策を

 政権発足直後に批判の封じ込めを露骨に行うのは、菅政権の進める政策の基軸が人びとの命や暮らしを犠牲にする戦争と新自由主義路線にあり、世論の反発を招くことが必至だからだ。

 新型コロナウイルスの影響を契機に解雇、雇い止めが急増している。6万人が失職し、その多くが非正規労働者だ。上場企業だけで早期希望退職者は早くも1万人をこえた。これらの数値は氷山の一角にすぎない。政府は、新型コロナを理由とした解雇・雇い止めの禁止を企業に求め、雇用維持への支援拡充、休業補償へ抜本的措置を講じなければならない。一回限りの特別給付金、持続化給付金などを必要に応じた支給とし、生活保障、事業存続への支援拡充が必要だ。

 同時に、首都圏をはじめ各地の感染再拡大に対し、医療体制拡充、PCR検査大幅拡大への対策を早急に行うべきだ。日本のPCR検査数は人口比で世界153位と異常に低い。新型コロナ対応に当たってきた病院、医療従事者らを支える財政出動も待ったなしだ。

 菅政権は、こうした雇用・生活・命にかかわる緊急課題には対応しない。他方、5兆5千億円という史上最大の軍事費の予算要求が平然と行われている。

10・18団結まつりへ

 菅への反発は拡大しつつある。会員候補6人の任命拒否に対して10月3日、首相官邸前では緊急行動が行われ、抗議のツイートも数十万件にのぼる。私立大の教員などでつくる日本私大教連は「歴史に残る汚点」と声明、日本科学者会議も抗議談話を発表した。

 民主主義と命を守るために重要なのは市民の運動だ。民主主義破壊NO、軍事費を削って命と暮らしを守る政策に回せ。こうした要求をひとつに集め、10月18日の団結まつり(東京、関西では11月15日)を成功させよう。

  (10月4日) 
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS