2020年10月16日 1645号

【「朝鮮学校の無償化排除を問う」学習会 知ること、そして伝えること】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)広島は9月21日、「朝鮮学校の無償化排除を問う」と題した学習会を開催しました。学習会には初めて参加する若者複数を含め参加者は25名に及びました。

 講師には、在日本朝鮮青年同盟広島県本部の副委員長兼組織部長で広島無償化裁判の原告でもある黄希奈(ファンフィナ)さんをお呼びしました。無償化問題と関係の深い在日朝鮮人の歴史や民族教育とは何かなど、歴史的背景を丁寧に説明しながら公権力の差別政策について話されたので、朝鮮学校のことをあまり知らない人にとっても理解しやすい内容でした。

 お話から、当事者は他でもない朝鮮学校に通う子どもたちなのだ≠ニいう事実がひしひしと伝わってきました。本来であれば学業や部活動に使うべき時間を、なぜ生徒たちは街頭に出て力いっぱい訴えたり、裁判のために使わなければならないのか。朝鮮学校と朝鮮総聯の関係性を問題視した攻撃が多くありますが、当事者が誰なのかを正しく認識すれば、それは歴史的経緯を無視し外交・政治問題を口実にした暴論以外の何物でもないのです。

 権利を侵害された当事者としての、また現在そしてこれから入学する生徒たちに、自身が経験したような辛い想いをこれ以上させたくないという黄さんの強い想いを感じました。講演後の質疑応答はとても活発に行われ、「黄さんが『朝鮮人としての誇りを持って堂々と生きている』と言われたことが心に響いた」「どれだけの日本人がそう言えるのだろうか、考えさせられた」との感想が多く寄せられました。

 多様性を認めるという国際社会の趨勢(すうせい)に反した、時代錯誤もはなはだしい日本の差別政策を今すぐやめさせなければなりません。

差別をなくすために

 朝鮮学校への無償化を求める裁判は、10月16日に広島高裁、30日には福岡高裁で判決が言い渡されます。現地にいなくても、私たちにできることはたくさんあります。行政側の常套(じょうとう)句は「国民の理解が得られない」なので、ぜひ周りの人に理解してもらいましょう。

 この社会に根付き蔓延するありとあらゆる差別意識を根本からなくすには、知ること、そして伝えることが必要です。時間はかかります。ですが、何より、これからこの世界の未来を担う子どもたち、その子どもたち、孫たちのために。

 そして今回築いた朝鮮学校無償化での連帯はもちろん、戦後補償運動や反差別運動などとの共闘も発展させたいと考えています。(ZENKO広島T・N)

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