2020年10月23日 1646号

【コロナ口実 解雇・雇い止め数十万人/韓国・イタリア労働者につづき解雇禁止法をつくれ】

 厚生労働省は9月24日、新型コロナ感染拡大に関連する解雇や雇い止めが6万439人になったと発表した(図1)。5万人を超えた8月31日時点から20日余りで1万人増えた。だがこの数字はハローワークへの申請件数などの集計で、実態とは大きく隔たっている。


非正規は120万人減

 労働者自身にアンケートを行い集計する毎月労働力調査(総務省)は抽出調査とはいえ、実態をより反映している。これによれば、8月の正規労働者数は前年同月と比べ、38万人増え3535万人。一方、非正規労働者数は2070万人で120万人減った(図2)。内訳はパート・アルバイト73万人、派遣労働者13万人、契約社員20万人などの減だ。

 つまり、解雇・雇止めは非正規労働者に集中しており、それらはハローワークに申請すらされていない実態が浮かび上がる。

 また、10月7日の野党合同ヒアリングで、休業支援金・給付金は予算5442億円のうち、わずか3%しか給付されていないことが明らかにされた。休業手当の支給を受けられなかった労働者は休業支援金も手にしていない。実質上、失業状態と変わらない労働者が多数存在することを示している。


一斉にリストラ 解雇

 正規労働者へのリストラ、解雇攻撃も始まった。

 ANA(全日空、従業員約1万5千人)は希望退職者の募集や冬のボーナス不支給などを柱とする大幅な人件費の削減案を労働組合に示した。格安航空会社ジェットスター・ジャパンはパイロットと客室乗務員の約600人を対象に希望退職者の募集や無給長期休暇の取得を提示。10月5日、事業継続の断念を発表したエアアジア・ジャパンは11月4日付で社員278人の大半を解雇すると発表した。

 業績悪化した航空業界だけにとどまらない。21年3月期は最終黒字を見込む武田薬品工業が30歳以上の労働者に希望退職を募っている。三菱自動車が600人の希望退職募集。東芝デバイス&ストレージ社は770人のリストラ発表と製造業大手でも人員削減続出だ。

 みずほフィナンシャルグループは週休3〜4日制を新たに導入。みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券などグループ6社の正社員約4万5千人を対象に12月以降、順次始めるという。基本給は週休3日の場合は80%程度、週休4日の場合は60%程度となる。メガバンクの中でいち早く社員の副業を認め、人件費削減・雇用流動化をコロナ禍を口実に進めようとしている。

 いずれも、正社員に対しては「希望退職」としているが、追い出し部屋など過去の例を見るまでもなく実質的な解雇に他ならない。

 今回一斉に始まったリストラ攻撃は、コロナ危機を利用して、さらに利益優先―労働破壊の新自由主義路線を徹底しようというグローバル資本の強欲さの表れだ。念願≠フ人件費削減―大量解雇による利潤最大化をコロナ危機を利用して一気に成し遂げようというのだ。人の命や生活を顧みない資本の無法を許してはならない。

あきらめず闘おう

 グローバル資本は、コロナ禍を口実に解雇・雇止めをなし崩し的に強行しようとしている。莫大な内部留保を保有しながら、さらに黒字企業が堂々とリストラをしているのだ。

 非正規労働者も、正規労働者もあきらめる必要はない。韓国では、解雇禁止を掲げる民主労総が最大のナショナルセンターとなり、イタリアでは解雇禁止法制がかちとられている。韓国やイタリアでは、コロナ解雇は起こっていない。

 コロナ解雇・雇い止めNOの声を上げ、解雇禁止法制化を掲げて闘おう。

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