2020年10月30日 1647号

【辺野古 埋め立てを許さない 意見書は1万9千件 沖縄全域への基地建設NO】

13年申請時の6倍

 沖縄県は10月9日、名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局から提出された埋め立て変更承認申請に対し、速報値で1万8904件の意見書が国内外から出されたと発表した。2013年の埋め立て承認申請時には3371件だった。6倍近くもの意見書が集中されたことになる。

 この7年間、安倍そして菅政権が辺野古新基地建設工事を強行してきたことに、「新基地反対」「埋め立てやめろ」という強い気持ちが市民にペンをとらせ、玉城デニー知事による申請不承認を後押しする。県は、提出された意見書の内容を精査し、防衛局からの変更承認申請を厳しく審査して年明け以降に判断する。

完成後も6回以上補修

 その新基地建設で、沖縄防衛局が大浦湾側の軟弱地盤改良工事に関して、「不同沈下」(ふぞろいな海底の地盤沈下)に対応するため沈下現象をシュミレーションする業務を8月段階でコンサルタント会社などと委託契約していたことが判明した。県による設計変更申請の審査が終わっていないにもかかわらず、発注していたのだ。県民の民意や県の判断も無視して工事を強行する政府の無法、不誠実な態度がまた露呈した。

 防衛省が提出した地盤改良などに関する「設計等技術業務委託特記仕様書」は、地盤改良工事をしても基地の供用開始後20年で不同沈下が起ると予測し、北側滑走路で最大8a、南側で最大12a沈下するとしている。20年間に北側で2回、南側で4回の補修工事がすでに見込まれている。県試算で13年間、2・5兆円以上かけて行われ、さらにその先20年間に6回以上もの補修が必要とされる。これこそあってはならない最大の無駄≠ナはないのか。

 河野太郎行革担当大臣(沖縄・北方担当)は、年間予算10億円の学術会議を行革対象にし「聖域なく例外なく見る」と口にする一方、2・5兆円の辺野古新基地建設事業には一言も触れない。9月19日、初の沖縄訪問で玉城知事から手渡された「辺野古新基地埋め立ての断念」を含む要望書も一顧だにしない。10月10日、加藤勝信官房長官は知事に対し「辺野古移設が唯一の解決策」と言い切った。菅新政権は、民意を背に要請する知事の言葉すらまともに聞こうとしない。

屈しない市民の闘い

 沖縄の基地に抗う市民の闘いは、名護・辺野古キャンプ・シュワブゲート前だけではない。辺野古浜テント、海上行動、安和(あわ)桟橋、本部(もとぶ)町・塩川港。東村(ひがしそん)・高江のN1ゲート前でも座り込みが、普天間基地の大山や野嵩(のだけ)、嘉手納基地でもゲート前行動が続く。

 石垣島ではミサイル部隊建設工事現場での抗議行動が続けられ、9月26日には石垣市が防衛省に売却した市有地をめぐって市民が提訴した。

 宮古島・保良(ぼら)地区の自衛隊弾薬庫建設阻止行動も10月7日で丸1年を迎えた。千代田地区に駐屯したミサイル部隊基地前とともに、保良では、ノボリを掲げ、ダンプカー前に立ちはだかる抗議が朝から晩まで行われている。隣接する保良と七又(ななまた)集落では反対決議があがった。住宅から200bも離れていない場所に弾薬庫が建設されることに反対の声をあげるのは当然だ。基地容認派も抗議行動に理解を示す。



 さらに自衛隊は沖縄島南部の那覇と知念の基地に電子戦部隊を発足させた。米軍が9月、浦添市のキャンプ・キンザーに新たに宇宙軍(第16宇宙管制隊)を創設したこともわかった。

 日米両政府は、この小さな島嶼(とうしょ)地域にいったいどれだけ軍事基地を造り続けるのか。75年前、沖縄全域に日本軍が基地を造り20万人を犠牲にした。基地、軍隊は住民を守らないことを示した沖縄戦の歴史。「戦後生まれなので沖縄の歴史は分からない」(翁長雄志(おながたけし)前知事との会談、2015年)と平然と言い放った菅義偉(すがよしひで)に、改めて揺るがぬ民意を突きつけ、思い知らせなければならない。(N)

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