2020年10月30日 1647号
【みるよむ(566) 2020年10月17日配信 イラク平和テレビ局in Japan デモ参加者を殺害する「闇の国家」 ―安全とまともな生活を―】
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失業の増加や腐敗政権に反対するイラク市民のデモに、カディミ政権の厳しい弾圧が加えられている。2020年8月、サナテレビはデモを闘う市民活動家にインタビューし、現状と市民の闘いを報告した。
マスコミでは、カディミ政権は安定しており日本や欧米から石油関係の投資が続いていると報道されている。だが、イラクでも新型コロナウイルス被害が広がり、政府の無策によって多くの犠牲者が出ている。都市封鎖で労働者が仕事ができず無収入になっても、補償金は雀の涙。一方、権力者らは汚職ざんまいだ。
だから市民は、政府への抗議デモを続けている。この市民の闘いに対するカディミ政権の答えは、デモ参加者に対する暗殺や誘拐なのである。
抗議行動に参加しているある市民は「現在の政府は、市民の利益のためではなく、政党自身の都合で登場した。権力ぶんどり合戦は、イラク国家と国のあらゆる施設や企業の奥深くまで蝕(むしば)んでいる」と批判する。
平和的な抗議デモ参加者の暗殺が続くというのはあまりにも異常だ。市民はこうした連中―暗殺者らを「闇の国家」「宗派の私兵」と呼ぶ。この勢力が力を増し、今や「政府に次ぐ第2の力を持つグループ」といわれるまでになっている。
責任取らせ裁判にかける
しかし、市民は卑劣な攻撃に屈せず、「政府全体、政治体制全体を打ち倒す」ことを明確な目標として持っている。「政府とカディミ首相に責任を取らせなければなりません。犯罪者と人殺しどもを裁判にかけ、法の支配を確立し市民の権利を守らせるのです」と確信を持って訴えている。
市民は、カディミ政権の腐敗と人権抑圧に対し安全とまともな生活を求めて声を上げ続けている。社会の根本的な変革を要求するイラク市民に連帯したい。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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