2020年10月30日 1647号

【郵政非正規裁判 最高裁で勝訴/手当・休暇の格差「不合理」/差別撤廃へ一歩前進】

 各地の郵便局で働く非正規労働者が、正社員と同じ仕事をしているのに扶養手当や病気休暇などがないのは労働契約法旧20条が禁じる「不合理」な格差にあたると日本郵便を訴えていた裁判で、最高裁は10月15日、上告審の対象になった手当・休暇すべてについて労働者側の訴えを認める判決を言い渡した。

 2日前、賞与・退職金の非正規格差を「不合理と言えない」とする不当な判断を示した最高裁だが、この日は一転。日本最大規模=18万人以上の非正規社員を擁する巨大企業に、差別待遇の見直しを命じた。

 判決は扶養手当について「契約社員も相応に継続的な勤務が見込まれるなら支給するのが妥当」と指摘。年末年始勤務手当について「最繁忙期で、多くの労働者が休日として過ごす期間に仕事に就く特殊性から支給される」、有給の病気休暇について「生活保障を図り、傷病の療養に専念させることで継続的な雇用を確保することが目的」とし、これらの趣旨は契約社員にも妥当すると認定した。

 判決後、最高裁正門に姿を見せた原告らは勝訴を伝える6本の垂れ幕を掲げ、口々に喜びの言葉を語る。「裁判所がわれわれをモノではなく人間として扱ってくれた」「全国2100万人の非正規労働者に一筋であれ光になれば」「6年半の長い闘争だった。私たちがやっているのは未来の形をよりよくすること。判決は本当にうれしい」「一番の勝因は、同じ職場で働いている正社員の証言が司法に届いたこと。正規・非正規一丸となった闘いが勝利をもたらした」

 西日本事件の河村学弁護士は判決を「格差是正の足がかり」と高く評価した上で、「格差の中心である基本給や賞与、退職金について最高裁は一切取り上げなかった。郵政の長年にわたる取り組みをさらに広げ、この部分の格差是正をかちとるまで闘いを進めてほしい」と期待を述べた。

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