2020年11月06日 1648号

【大阪を嘘まみれにした「維新」/行政機関が「都構想」のデマ宣伝】

 フェイクニュース政治がもたらす害悪を知りたければ、大阪の現状を見ればいい。橋下徹率いる「大阪維新の会」の台頭以来、大阪はデマとハッタリに振り回され続けている。

 維新の看板政策「大阪都構想」は机上の空論だらけのインチキ政策だ。現代表の松井一郎(大阪市長)らは「二重行政が解消され、経済が成長する」と宣伝するが、そんな保証はどこにもない。確実に言えるのは、大阪市が廃止され、その権限と財源が大阪府に移行するということだ。

 それに住民投票で賛成が上回っても「大阪都」ができるわけではない。大阪市を解体して4つの特別区が設置される。「都構想」というネーミング自体がデマなのだ(あえて言うなら区構想、いや苦構想か)。

 しかも、維新は自分たちのインチキ構想を大阪市の行政組織を使って大々的に宣伝している。市民の税金を使い、市民をだまそうとしているのである。

 全戸配布された説明パンフレットなど大阪市の広報は「都構想推進」広告と化している。使われているデータも怪しい。たとえば、「約1兆円の経済効果」をアピールする試算だ(維新ブレーンの高橋洋一がいる嘉悦学園が作成)。これには地方自治や地方財政の専門家から批判や反論が噴出したのに、説明パンフは堂々と載せている。

 「都構想」のPR動画を作成した大阪府・市の共同部署の担当課長は、広報の目的を「賛成に誘導するため」と会議で発言していた。松井や吉村洋文府知事は「不適切な発言だった」と一応釈明したが、動画は修正もせず流している。

 行政機関やメディアを使ってデマをばらまく一方、批判的な意見は徹底的に封殺する―。維新の後見人は菅義偉首相だけに支配の手口もそっくりだ。 (O)
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