2020年11月20日 1650号

【1650号主張 米大統領選 トランプ敗北 民主主義的社会主義へ】

市民と民主主義の勝利

 米大統領選でトランプが敗北した。これはトランプの排外主義、人種差別、人命軽視に対する民主主義の勝利である。

 トランプの新型コロナ対策はでたらめであり、人命軽視の極致であった。大規模集会をマスクなしで開催しトランプ本人も感染する失態は市民の強い怒りを招いた。警官による黒人殺害事件続発を契機にしたBLM(黒人の命をないがしろにするな)の闘いは人種差別をあおるトランプへの厳しい批判をもたらした。

 前回選挙でトランプが多数を獲得したラストベルト(さびついた工業地帯)3州(ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン)でバイデンが逆転した。4年前、トランプは「雇用を取り戻す」と言って白人貧困層の票を集めたが、雇用改善しない実態への失望にコロナ対策での批判が加わり、支持を失った。

 トランプは、排外主義、人種差別をあおることで格差拡大、貧困に苦しむ市民を取り込もうとしたが、アメリカ市民は拒否した。コロナ危機への対策を求める闘い、BLM運動など市民の闘いがトランプを敗北させたのである。

分断生む極端な格差

 バイデンは勝利演説で「私は分断でなく結束を目指す大統領になろうと思う」と述べた。しかし、分断の根底にあるのは、グローバル資本主義による極端な格差と貧困の拡大だ。アマゾン創業者のベゾスら資本家5人は、多くの市民が苦しんでいた3〜6月だけで保有資産を合計1017億j(約10兆8千億円)増加させ異常な格差をさらに拡大させた。この根底の問題を解決することなしに、分断の克服はできない。

 グローバル資本主義による格差と貧困を解決するには、サンダースらが掲げた政策を実行し、民主主義的社会主義に進むしかない。特にメディケア・フォー・オールに示されるすべての人びとへの公的医療保険創設は緊急に必要だ。

 だが、バイデンはそれに賛成しない。バイデンは民主党主流派の候補者であり、グローバル資本に支持された候補者であった。敗れたとはいえトランプが7千万票を超える支持を集めたのは、バイデンの対決姿勢の不明確さによる。

変革方向示すDSA躍進

 グローバル資本に対決し、サンダースが掲げた政策を実現しなければならない。グローバル資本・富裕層のの負担による徹底したコロナ対策、公的医療保険創設、環境保護、学費無償化・ローン免除などを実行させていかなければならない。

 DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)は、オカシオコルテスをはじめ下院議員を2人から4人に倍増させ、ニューヨーク州など州議会選挙でも躍進した。これが市民の期待の表れであり、民主主義的社会主義という変革方向を示すものである。

  (11月10日) 
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