2020年11月20日 1650号

【みるよむ(568) 2020年11月7日配信 イラク平和テレビ局in Japan 法学部卒業生は雇用を求め座り込む―自らの権利を要求して政府を追い込む―】

 イラクでは、就職の機会が全くない法学部卒業生が、雇用を求めて座り込みの抗議行動を続けている。10月、サナテレビは座り込みの現場を訪問し参加者にインタビューを行った。

 首都バグダッドのグリーン・ゾーンには、国会があり政府省庁が集中している。ここに大学の法学部卒業生が多数集まり、政府に対し、雇用を求めてデモや集会を行い、1か月以上にわたって座り込みを続けている。

 この若者たちは大学を卒業しても就職先がない。法学部卒業者の多くは政府機関職員や学校の教員となって働くが、カディミ政権はその道を遮断してしまった。

 ここに来た卒業生らは、バグダッド以外の地方から来た人ばかりだ。就職先もなく、どうやって暮らせというのか。カディミ政権は、新型コロナウイルス流行と石油価格下落を口実に、若者の仕事を奪い生活を破壊しているのだ。

 しかし、若者はただ悩み苦しんでいるだけではない。抗議行動に参加している女性によると、若者の要求で、法務省は「法学部卒業生や抗議行動参加者を雇用する能力がある」との書簡を内閣官房に送った。別の男性も「首相官邸に、雇用能力有りちする法務省の書簡を受け入れろと求めている」と語る。若者たちの闘いがこの文書を勝ち取り、展望を切り開いている。

要求実現まで座り込む

 この若者たちは、グリーン・ゾーン前の路上で、一緒に調理もしながら長期戦を闘っている。先の女性は「私たちは要求が受け入れられるまで座り込みを続けます」と断言する。

 カディミ政権の若者に対する仕打ちはひどい。法学部卒業生たちは雇用を求めて立ち上がり、自らの権利を要求して政府を追い込んでいる。今回の映像は、若者が社会を変革する展望を切り開きつつある姿を示している。ぜひ日本からも連帯していこう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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