2020年11月20日 1650号

【軍拡ではなくコロナ対策を カジノではなく介護保障を/ZENKOが中央省庁要請行動/解雇禁止、学費減免、避難者住宅確保も】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は11月4日、軍事拡大やカジノではなく新型コロナウイルス感染症対策の優先実施を、と中央省庁要請行動に取り組んだ。PCR検査拡充署名など1919筆を内閣府に提出し、防衛省・厚生労働省・文部科学省・日本学生支援機構・資源エネルギー庁・原子力規制庁・財務省・国土交通省の8省庁・法人にコロナ禍の命と生活にかかわる切実な要求をぶつけた。(6面に関連記事)

 厚労省に対してはコロナ対策として、▽有症者と濃厚接触者を主な対象とする現行のPCR検査基準を改める▽医療・介護従事者など人と接する仕事に就く者に定期的検査を実施する▽検査や医療体制整備に必要な財源は国の全額負担とする―ことなどを求めた。

 厚労省側は「必要な方が確実に検査を受けられるよう体制を整備中」「施設に限定せず幅広く地域の関係者を検査することは可能」「感染が拡大しそうだと現場で判断した場合は行政検査としてPCR検査を実施できるようにすでになっている」「スムーズな治療につなげるよう事務連絡で都道府県に伝えてある」「緊急包括支援交付金などを活用してもらい、財源は国が負担」などと回答。

地域、現場の声ぶつける

 要請参加者から「クラスターが発生していても、定期的に検査する立場にないと県知事が議会答弁」「感染集積地を抱えているのに区はPCR検査を広げようとしない」「事業所から数キロ以内で何か所もクラスターが出たが、PCR検査の話はなかった。発症した人と1時間、車の中にいても濃厚接触者ではないと言われる」「介護従事者はこれからずっと高齢者と付き合っていく。食事中も一切しゃべらないなんて本来の仕事じゃない。定期的な検査で長期戦に備えないと」「横浜市には保健所が1か所しかない。市長はコロナ対策よりカジノにお金を回そうとしている」といった実態がつきつけられる。

 厚労省側は「行政検査のQAを出し自治体に説明を尽くしている」「現場の感染状況を一番よく分かっているのは自治体」「厚労省が示した基準にのっとっていないとは思わない」「感染予防は個々人のマスクや三密回避が前提。検査で感染が拡大しない、というわけではない」と自治体丸投げの姿勢を変えなかった。

 公立病院の統廃合中止の要求には「再編統合を機械的に決めるものではない。地域医療構想は感染症対策で得た知見を踏まえ、自治体の意見を丁寧にうかがいながら進める。地域の熟慮の結果だ」と応じた。

 介護問題では、「尊厳ある暮らしを支える介護を」署名841筆を提出。要支援から要介護になった人を介護保険から外す省令改定に対し、「足立区に150以上の通所介護事業所。要支援の人も通っている。なぜこうなるのか」「要介護者をボランティアに預けていいのか。認知症が進んだ人は資格を持ったプロが介護すべき」とただし、「指定介護事業所で地域支援総合事業を行っている場合は弾力化の対象外」との回答があった。介護保険料減免の要求は「支え合い・助け合いの精神を否定し、市町村の一般財源を圧迫する」として拒否した。

汚染水海洋投棄を追及

 原子力規制庁には、福島事故放射能汚染水の海洋投棄を批判し、タンク保管の選択肢を要求。規制庁は「海洋放出を決定していない。新聞報道はミスリード。漁協等の意見は尊重する」と認めた。「一番安全な対策はタンクへの保管」の訴えに、「敷地に隣接する国有地に作るのは目的外使用となり難しい」との説明。地権者・元地権者である大熊・双葉町民の合意があれば可能との道筋を示させた。

 資源エネルギー庁に対しては、無駄遣いと失敗を重ねる核燃料サイクル政策を批判。温室効果ガス2050年排出ゼロは、原発ゼロでも再生可能エネルギーで達成できると訴えた。原発推進前提の職員は、反論もなく沈黙した。

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