2020年11月27日 1651号

【沖縄 辺野古 米兵事件の異常多発 ダム周辺掘削を許すな】

背後に訓練激化も

 10月下旬以降、沖縄県内で米兵による事件が頻発、異常な事態が続いている。

 10月25日、北谷(ちゃたん)町でキャンプ・シールズ所属の海軍兵士が飲酒運転し職務質問した警官への暴行容疑で逮捕。同日、那覇市でキャンプ・フォスター所属の海兵隊員が酒気帯び運転で現行犯逮捕。31日、北谷町でキャンプ・キンザー所属の海兵隊員が路上で面識のない海兵隊員をナイフで刺した疑いで逮捕。同日、名護市の飲食店でキャンプ・ハンセン所属の海兵隊員が日本人男性を殴りけがを負わせて逮捕された。

 11月1日、キャンプ・コートニー所属の海兵隊員が北谷町の飲食店で従業員への暴行容疑で逮捕。8日には、うるま市で、キャンプ・ハンセン所属の海兵隊員がタクシー運転手の首を絞め現金と車を奪って逃走、強盗容疑で逮捕。わずか2週間の間に13件もの事件が発生した。どの事件も米兵容疑者に大量の飲酒が確認されている。

 謝花喜一郎副知事は10日、県庁に外務省の橋本尚文沖縄担当相と田中利則沖縄防衛局長を呼び、「異常事態だ」と米兵事件頻発に強く抗議。綱紀粛正と教育の徹底、コロナ感染対策としての深夜外出や飲酒の規制、那覇市内での活動禁止などの行動指針が守られていないことを厳しく批判した。

 事件を起こしたのは、9月の異動で新しく配属されたばかりの20代前半の兵士がほとんどだ。コロナ対策による規制に加え、10月下旬からの在沖米軍を含む米軍9千人が参加する日米共同統合演習など激しい大規模訓練の再開が背景にあると考えられる。

 基地のない地域で、こうした事件を想像できるだろうか。基地の存在とは、米軍の事件事故の頻発を強いられることを意味する。

米新政権は民意を聞け

 米大統領選で勝利した民主党のジョー・バイデンが、政権移行に向け主要ポストの策定に入った。国防長官候補にはミシェル・フロノイ元国防次官(オバマ政権時)が有力視されている(11/9沖縄タイムス)。同元次官は、当時、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設推進を強く提言した人物であり、沖縄では警戒感が強まっている。辺野古新基地はいらないと言い続けている民意を突きつけなければならない。

 玉城デニー知事は11月6日、「日米両政府だけで物事を進めるのではなく、当事者を加えて現実的な議論をさせてほしい」と訴えた。

菅の工事加速ノー

 沖縄防衛局は、沖縄県からの埋め立て設計変更申請の審査結果が出ていないにもかかわらず、名護市の辺野古ダム周辺と美謝(みじゃ)川流域などのボーリング調査に着手した。

 当初の辺野古新基地建設計画では、埋め立てのためダムから流れ出る美謝川の水路を切り替える計画だった。しかし、稲嶺進前名護市長は、新基地建設につながる切り替え工事は市長権限で認めない考えを示しており、防衛局は2014年11月、市への美謝川水路変更工事の許可申請を取り下げ。ところが、2018年の市長選で渡具知武豊現市長に変わったため、防衛局は改めて名護市に対し美謝川水路の変更申請を提出することを狙う。ボーリング調査だけであれば市の許可が不要なため、切り替え後の川の流れに沿った20か所で掘削を行い、年度内に完了させることをもくろむ。

 新基地建設に反対する名護市の市民団体は10月8日、切り替え工事を不許可にするよう渡具知市長に要請書を提出した。市長選では新基地建設の対応を示さなかった渡具知市長は、新基地建設へのGOサインを出してはならない。

 菅政権はあらゆる手だてで新基地工事を既成事実化し加速させようとしている。辺野古現地の闘いとともに、名護市への要請も強めなければならない。   (N)



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