2020年11月27日 1651号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/市政を正す画期的判決】

 11月12日東京地裁は、日野市が公園内にごみ収集車の搬入路建設を行ったことを違法と断じ、市に対し大坪市長に約2億5000万円を請求するように命じました。

 この裁判の背景には、日野・国分寺・小金井3市のごみ処理広域化問題があります。

 広域化は馬場前市長が2012年に、市民の意向を無視して勝手に決めたため、こじれました。地元自治会も反対し、デモまで行われました。

 そもそも、日野と国分寺・小金井は間に国立や立川を挟む遠隔自治体であり、広域化は全く理にかないません。

 引き合いに出される三鷹市と調布市の広域化は12年に及ぶ市民と行政の話し合いを踏まえて用地決定・施設建設・稼働へと至りましたが、3市広域化はこの過程が省略され、住民合意のない上からの押しつけで進んだのです。

 施設建設の計画も付け焼刃で、極めてずさんなものでした。新可燃ごみ処理施設は昨年12月から稼働を始めていますが、ごみ収集車の搬入路はまさに象徴的でした。

 問題となった搬入路のある北川原公園は2017年に完成しましたが、5年前までは草が生い茂る公園予定地でした。公園は“迷惑施設”が集中した石田地区にその代償として建設するとされてきたものです。しかし、一連の経緯を見ていると公園建設というより、ごみ収集車の搬入路のために公園を一緒に作ったという感じが否めないのです。

 公園用地内に搬入路をつくることなど通常認められません。搬入路をつくるのであれば、判決も述べる通り、都市計画そのものを変更しなければなりません。にもかかわらず、搬入路を公園に伴う“兼用工作物”と主張したり、施設が寿命を迎えるまでの“30年暫定使用”などの詭弁を弄して建設したのです。

 判決を下した清水裁判長らも昨年11月現地を視察し、原告から説明を受けています。搬入路を前に、どう見ても公園の兼用工作物ではなくごみ収集車の搬入路でしかないと思ったに違いありません。

 このような無法なやり方を追認してきた議会多数派の責任も市側と同様に厳しく問われています。

 住民との話し合いをしっかり行い、法令にのっとり、行政を進める。これは自治体運営の基本の基です。

 84名の市民原告にとって頑張ってきたかいのある判決であり、市政を正す大きな力になっていくでしょう。
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