2020年11月27日 1651号

【みるよむ (569)2020年11月14日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク政府は学校講師の賃金を払え ―教育労働者の権利と生活を守るために―】

 2020年10月、サナテレビは、政府が賃金を払わないことに対して抗議を続ける学校講師たちの座り込み現場を取材した。

 イラクでは中学校や高校の教員不足を補うために20万人もの講師がいる。「13年間も教壇に立っている人がいます。それでも、無給講師のまま賃金、給料が払われていない」「生徒の試験問題の印刷費を自分のポケットマネーで払わなければならない」「朝に学校で仕事があって、午後に収入を得られる別の仕事をしなければならない」という深刻な実情が訴えられる。

 イラクの歴代政府、そして現在のカディミ政権は、教育労働者の権利と生活を踏みにじってきた。

 しかし、講師たちは、自分たちの窮状を嘆いているだけではない。「私たちが座り込みをし、圧力をかけたので、イラク国民議会は国家予算で講師への財政配分を行わざるを得なくなった」「政府は講師を常勤職として雇用すると約束した」と言う。

 講師たちの闘いの高揚を恐れたカディミ政権は、インタビューの2日前、機動隊に彼らを襲撃させた。「複数の講師が、恥ずべき襲撃のせいで病院に運ばれた」という被害が出た。

高まる抗議行動

 講師たちは闘いをやめない。メンバーは「2年前から抗議行動をしていますが、この40日間で抗議行動が高まり強まっています」と闘いの手応えを語る。また、「私たちはバグダッド抗議行動調整委員会を作り、州の調整委員会と協力している」と述べる。講師たちは自ら闘う組織を作って運動を守り前進させているのだ。

 カディミ政権による機動隊を使った暴力的弾圧を受けても、講師たちは闘い続け、当局との力関係を着実に変えつつある。組織的な闘いを広げ展望を切り開いているイラクの教育労働者に連帯しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

 
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