2020年11月27日 1651号

【菅首相の「ヤラセ会見」/八百長に加担するメディア】

 菅義偉首相の国会答弁がポンコツすぎる。どのような質問に対しても、官僚が用意した定型文の棒読みをくり返すだけ。かみ合わなくても、論理が破綻していてもお構いなし。「壊れたテープレコーダー」と揶揄されるのも当然だ。

 答弁能力に欠け、説明責任を果たす意思もない。そんな人物がなぜ、政府のスポークスマン(官房長官)を長年務めることができたのか。答えは簡単。御用機関化したメディアが全面協力していたからである。菅が首相に就任してからもその関係は続いている。

 一例をあげると、初の外遊先であるインドネシアで行われた「内外記者会見」(10/21)は、質問と回答が事前に用意されたヤラセ会見であった。現地紙の記者によると、質問は事前提出を求められ、日本の外務省が許可した内容への追加や変更を行わないように釘を刺されていたという。

 国内においても、首相の記者会見(内閣記者会が主催)が八百長化しているのは公然の秘密である。質問者と質問内容、首相の回答はあらかじめきまっており、各人はセリフをしゃべっているようなものなのだ。

 菅政権が新たに始めたのはグループインタビューと称した「記者会見もどき」である。質問できるのは内閣記者会の常勤幹事社のうち3社だけ。記者クラブ非加盟社やフリーの記者はインタビューに同席することすらできず、別の会場で音声だけを聞かされる。

 国際基準ではありえない報道統制だが、大手メディアは抗議ひとつせず、菅と各社キャップや総理番記者の「完全オフレコ朝食懇談会」にのこのこ参加している。露骨なメディア懐柔の場を蹴ったのは、ほとんどいなかったというから情けない。もはや政府の共犯者であることを勲章だと思っているのだろう。 (O)
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