2020年12月04日 1652号

【みるよむ(570)2020年11月21日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク政府は宗派の私兵の暴力を止めろ ―消される抗議行動参加者―】

 イラクでは、2019年10月から失業の増加や社会サービスの低下に抗議する市民の行動が続く。これに対してイスラム政治勢力の私兵が攻撃してくる。カディミ政権は私兵の暴力を止めると約束したが、その実態はどうか。2020年8月、サナテレビは抗議行動の現場で市民にインタビューを行った。

 カディミ政権は、対テロ機関や治安機関と何度も協議≠オて対市民テロを防ごうとしているように見せかける。しかし、一向に効果は上がらない。宗派の私兵は、市民の活動家を誘拐し暗殺する犯罪行為を繰り返している。

 市民の説明はこうだ。「米国政府とイラク政府、政党が裏取引をし、彼らを支える勢力をいくらか逮捕し、見返りに米国から財政支援を受ける一種の政治構造がある。カディミの政府と諸政党の間でウソをつくための合意がある」と厳しく批判する。

 2人目の市民は、イランやトルコ、サウジアラビア、ペルシャ湾岸諸国が私兵らを後ろで操ってイラクに介入していると指摘する。「中東諸国は互いに対等で平和な友好関係を作るべき。イラクに介入しないでほしい」と求めている。

弾圧に抗し闘い続ける

 3人目の市民は、多数の市民が集まるバグダッド中心部タハリール広場での抗議行動に参加し姿を消した市民のことを政府にきちんと調べるよう要求している。市民は誘拐され殺害されているかもしれないのだ。

 このように命にかかわる弾圧が続いているが、それを許さず闘い続ける市民の姿は印象的だ。

 カディミ政権は、市民に暴力をふるう宗派の私兵と闘うと言いながら、実際は放置したままだ。サナテレビは、暴力に屈せず安全と生活を守るために政府と闘う市民の声を伝え、ともに生活と人権が守られる社会に変えようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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