2020年12月11日 1653号

【1653号主張 GoTo事業は中止だ 検査 医療 給付で命を守れ】

感染急拡大は人災

 新型コロナウイルスの感染者数が急速に増えている。11月28日の全国の感染者数はこれまでで最多の2684人、重症者数も最多440人となった。医療供給体制が逼迫(ひっぱく)しつつあり、医療崩壊寸前の地域もある。25日時点の病床使用率は兵庫県が68%、大阪府55%、北海道47%まで上昇。即時対応可能な病床使用率では大阪で8〜9割に達する。

 政府の新型コロナ対策分科会尾身会長も「一般的には人びとの移動が感染拡大に影響すると考えられる」と言う。「GoToキャンペーン」が拡大の一因であるにもかかわらず、菅政権は継続に固執している。

 感染拡大を抑えるには、国際水準に遠く及ばないPCR検査の体制整備と広範な実施、追跡・保護・治療など医療の抜本的拡充に向けた政府による大規模な財政出動が不可欠だ。ところが、菅はGoToと「マスク会食」で市民に自己責任を押し付けるのみ。今も必要な対策をとっていない。感染急拡大は人災≠セ。

待ったなしの検査・医療

 共同通信の11月世論調査では、コロナ感染者が最多となっていることに「不安」が84%、GoToトラベル延長に「反対」が50%、「感染防止を重視すべき」は68%に上る。こうした批判世論に、政府は「トラベル」から札幌・大阪両市を除外する一部見直しを発表したが、小手先の対応に政府分科会まで「迅速、集中的対応」を追加提言(11/25)する有り様。大手業者の利益優先のGoTo事業は中止し、1兆円を超える政府支出は医療や自治体給付に回させなければならない。

 医療・介護など現場は待ったなしだ。地域の深刻な実態と要求の前に厚生労働省は11月20日、「感染拡大地域では、発熱患者等が医療機関を受診した際に積極的にコロナ検査を実施するよう」と事務連絡を発した。通知等を活用し、運動の力で地域から検査体制強化を実現することは可能だ。

 東京・世田谷区や千代田区、神戸市で介護・障害者施設等の「社会的検査」が開始され、沖縄県でも介護・医療職員への定期的検査が始まる。こうした施策の全国への拡充を政府に求めなければならない。

予備費7兆円を使え

 今年度第2次補正予算には予備費約7兆円が残されている。ただちに検査・医療体制の拡充、市民や零細業者の生活・雇用保障への財政出動に充てなければならない。危機的な雇用状況を前に、12月末期限だった雇用調整助成金特例措置も2月まで延長される。だが、まだまだ不十分だ。軍事費を削り、内部留保や資産を増やし続ける大企業・富裕層への課税を強化すれば、必要な財源は確保できる。

 「命と生活を守れ」と自治体・政府への要請行動を強め、根本的政策転換を迫ろう。

  (11月29日) 
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