2020年12月11日 1653号

【コロナ禍 あらゆる手だてで新基地阻止 今年初の辺野古海上抗議行動 司法による無法追認許さない】

新基地よりコロナ対策を

 久しぶりに辺野古の海に「新基地造るな」「民意を守れ」とシュプレヒコールがとどろいた。

 新型コロナウイルス感染拡大で新基地建設阻止の海上行動ができない状況が続いていたが、11月21日、今年初めての海上での抗議集会が行われた。カヌー30艇、抗議船6隻、ゴムボート2隻で、「辺野古ぶるー」など県内在住の約60人が参加。コロナで参加できない県外のメンバーからは「土砂を入れるな」「NO BASE NO WAR」など多くの横断幕が託され、K8護岸前のオイルフェンスにずらりと貼られた。

 辺野古海上警備業務の作業員2人が新たに新型コロナに感染したことが19日に発表されたばかり。だが、沖縄防衛局はまったく顧みず工事を続ける。海上行動では、「不要不急の新基地建設よりもコロナ対策に全力を」と決議文が採択され、米国の公民権運動で歌われた「ウィー・シャル・オーバーカム(勝利をわれらに)」が唱和された。

知事自ら意見陳述

 11月20日、福岡高裁那覇支部前の城岳(じょうがく)公園で、こちらも久々に「オール沖縄会議」主催の「玉城デニー知事を支え、辺野古新基地建設阻止! サンゴ採捕関与取り消し訴訟支援集会」が開催された。

 沖縄防衛局は2019年、工事を強行するため大浦湾のサンゴ類を別の海域に移植する特別採捕申請を沖縄県に提出。知事は「軟弱地盤の改良工事などで埋め立て工事の内容が確定していないため、申請内容が妥当か判断できる状況ではない」と移植申請の裁決を保留していた。これに対し、農林水産相が「是正の指示」を出し、県側は「違法な関与だ」として、取り消しを求め7月に提訴。その第1回口頭弁論に向けた集会だ。

 集会には、意見陳述する玉城デニー知事も参加。知事が「国の関与の在り方がおかしいということを地方自治や水産資源の保護の観点からしっかりと主張していきたい」と強調する。約150人の参加者は熱い拍手で送り出した。

 弁論で知事は「サンゴ類がいったん死滅すれば元に戻すことはできない」「重大な事実を無視している」と何度も訴えた。大久保正道裁判長は即日結審を告げ、判決は来年2月3日に指定された。

 政府に忖度(そんたく)し、県の意見をまともに取り上げようとしない司法。即日結審はその姿勢を物語る。11月27日には、県の埋め立て承認撤回を取り消した国の裁決は違法として県が裁決取り消しを求めた辺野古抗告訴訟でも、那覇地裁は訴えを却下した。しかし、こうした国の横暴に一つひとつ対峙していくことも、譲ることのできない闘いだ。

辺野古市民訴訟も続く

 また11月19日には那覇地裁で、辺野古新基地建設を争う「国の違法を許さない住民の訴訟」の弁論が開かれた。辺野古・大浦湾沿岸住民15人が原告となり、県と同じく、承認撤回を取り消した国の裁決取り消しを求めている。「二見以北住民の会」渡具知智佳子さんらが支援を呼びかけているものだ。地裁は4月、瀬嵩(せだけ)など大浦湾沿岸に住む11人を「原告適格なし」として却下したが、辺野古・豊原に住む4人については「原告適格」を認めた。その4人が原告の裁判が続いている。

 弁論で国は「国土交通相の裁決は適法、市民が訴訟を起こす適格性がない」と繰り返す。住民側は「活断層の与える影響については、県の審査でも取り扱われていなかった」と、住民の立場から軟弱地盤や活断層の問題を追及した。

 辺野古ゲート前など現場の闘いとともに、名護市東海岸の地元住民が国を訴える裁判として注目し支援していくことが求められている。      (N)



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