2020年12月11日 1653号

【たんぽぽのように 権利について 李真革】

 多くの人の懸念どおり、冬とともに第3波がやってきた。私にとって2020年は、韓国にいる家族や友人に会うことができなかった年と記憶されることになる。誰が想像できただろうか。新型コロナウイルスは、あまりにも多くを変えさせ、私たちの生活はまだ脅かされている。何度も書いたが、皆に平等ではなく、ある誰かにはより過酷となるのがこのウイルスである。

 韓国では、再び「緊急災害支援金」の支給を準備中という。韓国政府と自治体は今年、大多数の外国人を支援金支給対象から除外した。その後、多くの市民社会団体が国家人権委員会に陳情するなど反発があり、最終的にはソウル市や京畿道(キョンギド)などいくつかの自治体が在留資格を持つ外国人に支援金を支給することになった。私のようにビザを持って日本に長期滞在している外国人が日本政府から「特別定額給付金」を受けたことと対比される状況だ。

 11月1日、「大阪都構想住民投票」があった。

 日本に来て、少なくない在日コリアンの知人ができた。単一民族イデオロギーが非常に強い韓国でも、この人びとについて教えられたことはほとんどなかった。彼らは、日本帝国主義の産物であるという事実とは別に、日本と韓国の両方で目に見えない存在のようにされている。それを知らなかったことに恥を感じる。彼らの話を聞くと、無知は罪にもなると思われる。

 日本で生まれ育ったのに日本籍がなければ、持つことができない権利がいくつかある。彼らは「住民」になれない存在でもある。吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長は住民投票こそ「究極の民主主義」だと繰り返し強調したが…。

 国連加盟国192か国中、外国人の地方参政権を認めている国は65か国にのぼる。韓国の場合も、2006年から永住権を持つ外国人は地方選挙投票ができるようになった。そう、韓国では、外国人は投票する権利は持つことができるが、緊急災害支援金を受ける権利は持つことが難しい。そして日本では、外国人は特別定額給付金を受ける権利は持つが、選挙に参加する権利は持つことができない。

 ウイルスさえ誰にでも公平ではない現在の社会。それにもかかわらず、参政権の歴史を振り返る。最初から、労働者が、女性が、投票する権利を当然には持っていなかったからだ。

(筆者は市民活動家、京都在住)
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