2020年12月18日 1654号

【1654号主張 コロナ禍 命・生活切り捨ての菅政権 無策許さず地域から変革】

危機的な感染急拡大

 新型コロナ感染再拡大で日本は危機的事態を迎えている。最も早く感染急拡大に直面した北海道では陽性者が1万人を突破。奥尻島では感染者の受け入れ病床がなく患者はヘリで島外搬送されている。大阪の感染増、重症病床逼迫(ひっぱく)は際立っている。維新吉村・松井がコロナ対策を放置し「都構想」に明け暮れた結果だ。

 「現場感覚では今もう限界。国は根拠なき楽観論をやめてほしい」と悲痛な声が上がる。医療崩壊状態だ。対策を講じる余地のあった夏から初秋、政府・自民党は安倍の政権投げ出しと総裁選、政権移行の空騒ぎで無策を続けた。そのツケを市民に回させてはならない。

記者会見で無策露呈

 臨時国会が12月5日、閉幕した。「コロナに冬休みはない」とする野党の年末までの会期延長要求を無視し、グローバル資本の要請に応えるための政府法案だけを駆け込み成立させ、菅は国会論議から逃げ出した。

 4日の首相記者会見は、新型コロナに対する無策を露呈させた。緊急に必要な医療支援は遅く追加財政出動もなく、感染対策は市民への説教だけ。安全性、実効性も不明のワクチンに期待をつなぐなど、医療現場が批判する「根拠なき楽観論」そのものだ。

 経済政策で菅が強調したのはデジタル強化など、困窮する市民生活と無縁のものばかりだ。雇用調整助成金の特例延長は2月まで、持続化給付金や特例給付金も1回限りのまま。補償なき営業短縮要請で様々な事業者が再び苦境に立っているが、菅はグローバル資本向けの経済対策しか講じない。このままでは多くの零細業者は年を越せず、倒産、廃業、解雇が続出する。自殺者が10月だけでコロナの総死者数を上回ったのは明らかな予兆だ。

 市民の命と生活が危機に瀕する中、安倍の「桜」疑惑で検察が動き、菅自身にパーティー疑惑が浮上した。吉川元農相は在任当時、養鶏業者から現金を受け取っていた。底なしの腐敗が改めてあらわになった。

 世論調査(12/6共同)でも内閣支持率は12・7ポイント減と急落。コロナ対策を「評価しない」は55・5%、「桜」疑惑では安倍の国会招致を60・5%が求める。

命・生活守る要請行動を

 菅政権は、無策による危機を逆手に取ってデジタル化で市民監視を狙い、温暖化対策の名で原発再推進など反市民的政策を次々と打ち出す。だが、大飯(おおい)原発設置許可取り消し判決(12/4大阪地裁)はその出鼻をくじいた。あきらめず闘い、政策、政権を変える。市民に希望をさし示すときだ。

 東京・世田谷区、千代田区、神戸市を皮切りに独自のコロナ「社会的検査」などが行われ始めた。地域から市民の要請行動で先進的事例を実現し、命と生活を守り抜こう。

  (12月6日) 
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