2020年12月18日 1654号

【みるよむ(571) 2020年12月5日配信 イラク平和テレビ局in Japan 罠(わな) ―ニューヨーク市警によるBLM運動弾圧と抗議―】

 2020年5月、ミネアポリスの黒人ジョージ・フロイドさん殺害を契機に全米にBLM(黒人の命をないがしろにするな)運動が広がった。今回は、6月4日ニューヨーク市サウスブロンクスの抗議デモの映像を紹介する。表現制作集団SITUと人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが取材し配信したものだ。

 デモには大変なエネルギーと怒りがあったが、非常に平和的で沿道の住民からも声援を受けていた。

 ところが、デモ隊に対し50人の警察官が道路を封鎖して止めた。後ろからも警察が押しかけて引き返すことを阻止。午後8時になると同時に、デモ参加者に襲いかかった。当時ニューヨークではコロナ対応で8時以降の夜間外出禁止令があり、違反者は逮捕される。警察官らは市民に襲いかかり、殴りつけた。夜間外出許可書を保持している人にも暴力をふるい地面にたたきつけて逮捕した。

 逮捕された市民は250人。刑務所では食料も水も与えられず、負傷者も手当てされず翌日まで留置された。市民は「合衆国憲法修正第1条(集会や政府への請願の権利)が窓から投げ捨てられた」と批判する。

警察予算を福祉、教育へ

 市警に人権侵害をやらせた最高責任者はデブラシオ・ニューヨーク市長だ。民主党員である市長が実際に行っているのは、トランプと同じ暴力的弾圧だ。

 こうした市政に市民が立ち上がっている。映像自体、デモ参加者と地域住民が撮った150ものスマホ映像で構成されている。さらに被害に遭った100人のデモ参加者が市を告訴する。

 DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)も、この映像の拡散を呼びかけ、市民に平気で暴力を働くニューヨーク市警を許さず「警察予算を打ち切り、福祉・教育に回せ」と要求している。米国市民の闘いに日本から連帯しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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