2020年12月18日 1654号

【「桜前夜祭」疑惑で捜査の手/そんな安倍に五輪功労賞】

 安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会前夜祭」の問題で、東京地検特捜部は安倍に任意の事情聴取を要請した。前夜祭の費用をめぐり、政治資金規正法や公職選挙法違反の疑いが持たれている。

 記者団に囲まれた安倍は「誠意を持って対応していく」と述べたものの、詳しい説明は拒み、質問にイラ立つ一幕もあった(12/4)。数週間前、得意の絶頂にいたのが嘘のようだ。

 11月16日、都内で行われた五輪功労賞の授与式に安倍はいた。IOCのバッハ会長から金賞(最高賞)を贈られたのだ。安倍は受賞スピーチで「人類がウイルスに打ち勝った証し」としての東京大会開催を大いにアピールした。

 「2021年7月23日、東京の空高く、いま再びブルー・インパルスが天翔ける時、世界のどんなところに住まう方も、一度は絶望の淵にくれた人々でさえ、天を、そして青空を、はるかに仰ぐことでしょう。その日、東京にラッパが鳴る。ファンファーレは世界に響き、人の心に凍りついた恐怖を解かし、希望に置き換えてくれることでしょう」

 「頭、大丈夫ですか」というほかない。いま安倍は「桜前夜祭」をめぐる虚偽答弁で窮地に立たされているが、国際的に最も有名な嘘はオリンピックの招致演説だろう。「福島についてご案じの方には私から保証します。状況はアンダーコントロールされています」というやつだ。

 放射能汚染水の問題など原発事故収束の見通しが立っていないのに、世界に向けて大ボラを吹いた安倍。そんな男に最高賞を授ける五輪貴族IOC。どちらも腐りきっている。

 安倍は国会ですべてを明らかにした上で議員辞職すべきだし、オリンピックは返上だ。それが一番すっきりする。     (O)
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