2020年12月25日 1655号

【労働者協同組合法で拓く自治】

 12月4日、全会一致で労働者協同組合法(労協法)が成立した。地方自治にとっても画期的なことだ。

 「失業なくせ」という叫びの中から生まれた運動が、地域から信頼され認められる「よい仕事」をめざし、労働者協同組合に至った。一人ひとりの力を発揮する仕事作りをめざし、よい仕事と地域・社会の在り方を切り結び、労働の誇りと尊厳を問い、実践が積み重ねられてきた。

 12月議会の代表質問で、区としても労協を持続可能な地域作りをめざすパートナーに位置付けてほしいと求めた。区からは「営利を目的としない団体であり、公的分野の事業を担っていただける存在であると認識」「労協法を活用してできる事業の可能性について検討し、協議の場を設ける」と、手ごたえある答弁を得た。

 労協の持つ役割が見える出来事があった。今、足立区で、指定管理を行ってきた社会福祉法人が保育園委託料を裁判所から差し押さえられ、経営できなくなるという問題がおきた。ほかに引き継げる所はなく、緊急的に12月より区直営に戻す事態に。これを見て、ワーカーズコープ東部事業所から申し出を受け、保育園で働いてきた労働者が就業を継続でき保育も守るために労協で事業を引き受ける選択肢もある、と担当課長らと懇談の場をもった。「同地域で学童もやっているワーカーズさんだと安心」と区からも。

 労協は労働者が経営にも参画し自ら仕事を作る「自治」であり、地域住民が参画でき民主的管理のもとに地域をつくりかえていく試みでもある。株式会社の下では意思決定権をはく奪されている労働者が決定権をもち、利潤を最優先させる資本主義へ一石を投じる。

 自治体変革にとっても労協法の成立は大きな希望の種だ。ワーカーズのパントリー設立を支援し、こちらの雇用相談にも応じてもらっている。2021年、労働者協同組合と共に、多様な取り組みを進める1年としていきたい。

 
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