2020年12月25日 1655号

【みるよむ(572) 2020年12月12日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク政府は仕事をよこせ ―大学卒業者の座り込み―】

 イラク政府は、石油価格の下落やコロナ危機を口実に大学学位保持者(大学卒業者)の就職保障を放棄している。これに抗議して卒業者らがバグダッドをはじめイラク全土でデモや座り込みを展開している。2020年10月、サナテレビは座り込みの現場を訪れ、インタビューを行った。

 大学卒業者たちは、政府に対する抗議集会を開催。「私たちの権利はここにあります」「座り込みをやめません」と訴えた。横断幕は「我々はこれ以上沈黙しない」「失業保険を提供しろ」と決意を示し、政府への要求を突きつける。

 インタビューに答えるハッサンは、義務教育から大学まで16年間懸命に勉強してきたにもかかわらず就職の機会を得られない状況について「イラクの国の中で、自分の権利を得られなかった」と批判する。

 彼らはまず、住んでいる市や州の行政当局に対する座り込みを始めた。ところが、市や州では何の対処もできない。そこで自分たちの要求を全国12州から集め、中央政府のカディミ首相に送りつけた。映像を通じ、ハッサンは、バグダッドで45日続く座り込み、デモにさらに多くの参加を訴える。

 若者たちは大量の機動隊が動員される中でも整然と集会を開き、コロナ禍の下で距離を確保した数百人規模のデモを行う。この全国的な闘いを調整委員会を作って組織化している。

女性が自ら闘いを組織

 女性だけのデモの場面もある。イスラム政治勢力の女性攻撃が絶えない中で、サナテレビ映像でも女性がまとまって大勢でデモをするシーンは多くない。

 イラク労働者共産党サミール・アディル書記長によれば、今、運動の側は、労働者、若者、女性が自ら闘えるよう組織化を進めているということだ。

 イラクの若者は、政府の雇用保障放棄と大量失業政策に抗議し、自ら闘いを組織して立ち上がっている。日本からも連帯していこう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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