2021年01月01日・08日 1656号

【MDS18の政策とは/第1回/日本国憲法(1)/憲法改悪を阻止し3大原理を実現する 9条丸ごと失効狙う自民改憲案】

 新型コロナ禍の下でも日本の支配層は「命よりカネ」の政策を進めている。MDS(民主主義的社会主義運動)は、市民の命を守り生活を充実させ、民主主義的社会主義への道を開いていくための「18の政策」を公表した。本号より各政策を読み解いていく。第1回は「日本国憲法」。

 自民党はいくつかの憲法「改正」草案を作成している。とりわけ2012年の「日本国憲法改正草案」がその本音を表している。ほぼ全文を書き変える新憲法捏造(ねつぞう)≠ナ、現行憲法の3大原理である「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」を全否定している。

 だが、野党はもちろん連立与党の公明党との合意すら得られず、安倍前首相は、第9条と緊急事態条項新設に的を絞った。そして改憲補完勢力である「日本維新の会」が要求する「教育無償化」を取り入れて2018年、改憲4項目(第9条への自衛隊の書き込み、緊急事態条項、参院の合区解消、教育)を提示した。

 「任期中の改憲施行」を明言してきた安倍は、自公・維新の参院議席数が改憲発議に必要な3分の2を割り込み、支離滅裂なコロナ対策への市民の批判の前に政権を放り出した。

 後を引き継いだ菅首相は、なお憲法審査会での議論推進を訴えている。

 改憲4項目を見よう。

 第9条については「第9条の2」を付け加え「自衛隊の保持」を書き込む。
----------------------
 9条の2 前条の規定(注 第9条の戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否定)は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
-----------------------
 12年「改正草案」の「国防軍」の表記は見られない。一見「今存在する自衛隊を書き込むだけ」と市民の目をあざむくためだ。

 法解釈は、新しい規定が優先する。18年改憲案は「第9条3項」の新設とせずに、第9条と同格の「第9条の2」とすることで第9条を丸ごと失効させる狙いがある。

 歴代自民党内閣は、戦力不保持を明記する第9条2項があるため、自衛隊を「あくまで実力組織であって、戦力ではない」と強弁してきた。だが、自衛隊はもはや世界軍事力(戦闘力)ランキング(『Global fire power2020』)で、米ロ中印に次ぐ世界第5位。「戦力ではない」などという詭弁は通用しない。しかも「敵基地攻撃能力の保持」すら口にし攻撃兵器の調達を進めている。だから、あえて「戦力不保持」を否定するために「第9条の2」とした。また、第9条1項の「交戦権の否定」を失効させるため「自衛の措置をとること」を可能にする一言を入れている。  《続く》
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS