2021年01月01日・08日 1656号

【辺野古 設計変更不承認 裁判勝利へ 対沖縄県・政府交渉で回答迫る ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)共同代表 蜷川義章】

 沖縄県が、辺野古新基地建設をめぐる「公有水面埋立設計変更申請」(沖縄防衛局)の内容審査を進める中、11月9日沖縄県、11月27日防衛省、環境省と交渉を持ちました。県交渉に県議3名と名護市議1名、政府交渉には伊波洋一議員(参院外交防衛委員)が参加しました。

 県交渉では、(1)沖縄防衛局に、環境に影響を与える具体的材料の提出を求めること(2)沖縄防衛局が県の不承認後に裁判を準備していると想定して「指摘すべきことは直ちに指摘すること」の重要性を共有しました。

防衛省は再回答を約束

 防衛省交渉では、(1)2月以降、工事施工区域内で200回以上確認されている「ジュゴンらしき鳴音」(沖縄防衛局)の録音データ公開(2)埋め立て土砂運搬船の夜間航行の中止(3)環境影響を予測・評価する「具体的な材料」の提出時期―を質(ただ)し回答を求めました。

 (1)について、沖縄防衛局が契約書で「本業務実施期間中、途中段階までの成果物の提出を求めた場合には、その指示に従う」としているにもかかわらず、「ジュゴンの鳴音録音データ」は「成果物」ではないと公開を拒否。工事を進めるために「ジュゴンらしきデータ」を出したくないのです。(2)では、「夜間航行は海上工事(施工海域内)に当たらない」、土砂運搬が工事に関係ないと強弁しました。これは、夜間に餌場を回遊する沖縄ジュゴンの生態をふまえて沖縄防衛局が作成した環境保全措置すら無視したものです。(3)では、県が「具体的材料」の提出を指示しても「質問内容を見て提出するかは判断する」と居直りました。

 そこで防衛省に対し、(1)「録音データを成果物とする」追加契約をするか否か(2)運搬船が出す水中音でジュゴンにストレスが溜まっているからその水中音の波長を調査すべき(3)設計変更しなければならない根拠・材料を防衛省が提出すべきで「具体的な材料」を提出しないのはなぜか―の3点について後日回答することを求めました。

 環境省では冒頭、コロナ感染下にもかかわらずフィリピン、全国各地から寄せられた署名「沖縄ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナを守ろう」2651筆(うちフィリピンから445筆)を提出しました。

 交渉では、▽防衛省からジュゴンの鳴音録音データについて相談はない。ジュゴンの鳴音データがあれば公開する▽夜間航行はジュゴンに最大限配慮すべき。嘉陽に定住していたジュゴンAの行方不明の原因に外的な要因はあると思う―など、ジュゴン保護の立場からの回答がありました。

世界へ広げ新たな闘いへ

 沖縄県は内容審査をふまえて4月末に不承認を考えています。一方、防衛省は、県の不承認を想定して、「国交大臣に不服申し立て」「知事不承認取り消し」「裁判での勝訴」という流れを考えています。

 この流れを止めるためにも、私たちは、全国からの意見書を背景に「ジュゴンの鳴音録音データの公開、埋め立て土砂運搬船の夜間航行中止」署名を広げ、新基地建設反対の国際世論を広げます。IUCN(国際自然保護連合)が2019年秋に来日して示した「ジュゴン生息地における米軍基地の建設に伴う海草藻場の消滅が懸念されている」との声明を世界に広げ、新たなジュゴン訴訟の検討に入ります。

 詳しくは、ジュゴン掲示板をご覧ください。

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